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土地活用にかかる初期費用の種類と目安額は?資金調達方法も解説

土地活用にかかる初期費用の種類と目安額は?資金調達方法も解説

土地活用を始めるに当たって、まず気になるのは初期費用がどれくらいかかるのか、初期費用の資金調達にはどのような方法があるのか、という点ではないでしょうか。

必要となる初期費用の種類と額は、土地の状態や採用する土地活用の方法によって異なります。

この記事では、土地活用にかかる初期費用の種類、主な土地活用法でかかる初期費用の目安、初期費用と合わせて考えたい利回り、初期費用の資金調達方法について解説します。

土地活用にかかる初期費用の種類

土地活用にかかる初期費用には、以下の種類があります。

  • 造成費
  • 建物解体費
  • 建築費

「造成費」や「建物解体費」は、土地の状態によって必要となり、土地を活用できるように準備するためのものです。

「建築費」は、建物を建てて行う土地活用で必要になる費用です。

造成費

次のような土地は、造成が必要になります。

  • 山林
  • 田んぼや畑などの農地
  • 不要な木がある土地
  • 傾斜地や高低差がある土地

造成費は、以下のような作業を行う費用です。

  • 山林を切り拓く
  • 農地を埋め立てる
  • 木を伐採する
  • 盛土・切土する

以前に建物が建っていた土地は造成が不要なことも多いため、過去にどのような用途に使われていたか、確認しましょう。

建物解体費

古い建物が建っていて、土地活用でその建物を使用する予定がない場合、「建物解体費」が必要になります。

建物解体費の坪当たり単価は、以下の順に高くなります。

木造 < 鉄骨造 < 鉄筋コンクリート造

鉄筋コンクリート造のように堅固な建物ほど、解体費も高く付くためです。

坪当たり解体費の目安は、下の表のとおりです。

建物構造建物解体費の目安
木造3 ~ 5万円/坪
鉄骨造4 ~ 6万円/坪
鉄筋コンクリート造6 ~ 8万円/坪

建物解体費の総額は、坪当たり単価に建物の面積を乗じて計算されます。

なお、同じ構造の建物でも、密集市街地に建っている場合や、建物の階層が高いほど、坪当たり解体費が高くなる傾向にあります。

解体費が実際どれくらいかかるかはケースバイケースなので、解体業者に相談してみましょう。

建築費

建物を建てる土地活用では、初期費用の一番大きな部分を占めるのが建築費でしょう。

建築費は、店舗や住宅など建物の種類と建物の階数、構造、規模などによって変わります。

また、建築費の相場は、人件費や建築資材の変動などの一般的な経済状況に応じて大きく変動することに注意しましょう。

代表的な土地活用法にかかる初期費用の目安

ここからは、以下の土地活用法を始めるに当たって必要となる費用を解説します。

  • 高齢者施設
  • 駐車場
  • ロードサイド店舗
  • 賃貸アパート・マンション

初期費用のうち「造成費」や「建物解体費」は、どの土地活用法を選択したとしても、土地の状況に応じて必要になるもの。

以下では、「造成費」や「建物解体費」以外で、各土地活用法で必要となる初期費用について説明します。

高齢者施設の初期費用

高齢者施設の内、「デイサービス」の建築費は数千万円以上、「サ高住」や「老人ホーム」の建築費は1億円以上が目安です。

施設の種類建築費の目安
デイサービス数千万円~
サ高住・老人ホーム1億円~

高齢者の通所介護の施設である「デイサービス」は、小規模な土地でも始められ建築費は数千万円から始められます。

「サ高住(サービス付き高齢者住宅)」や「老人ホーム」は高齢者向け設備の設置が必要であり、規模も比較的大きいため、一般的な賃貸住宅より建築費が高くなる傾向があります。

しかしながら、後で詳しく解説しますが、高齢化社会により高齢者施設へのニーズが高まっており、サ高住や老人ホームの建築に当たって、条件に合えば補助金が交付されます。

高齢者施設の建設を検討する場合は、補助金交付の条件についても確認しておきましょう。

高齢者施設は初期費用が高額になりやすいため、詳しい専門業者に相談することもおすすめです。

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駐車場の初期費用

月極駐車場の初期費用は数十万円以上、コインパーキングの初期費用は数百万円以上必要です。

コインパーキングは機械設置費用がかかるため、月極駐車場よりも初期費用が高くなります。

月極駐車場とコインパーキングの初期費用の詳細は以下で解説しますので、ご覧ください。

なお、月極駐車場とコインパーキングのどちらが適しているかは、立地によります。

たとえば、周辺に商業施設等がある場合は、時間貸しのコインパーキングの需要が期待できるでしょう。

費用だけでなく、周辺地域の調査をした上で、どちらが適しているか検討してください。

月極駐車場

月極駐車場の場合、平らな土地であれば、そのままでも土地活用を始めることができます。

土地の整備をする場合は、以下のように整備の種類に応じて費用の相場が異なるため、どれが適しているのか検討が必要です。

土地整備の種類費用
整地のみ3,000~4,000円/㎡
アスファルト舗装4,000~6,000円/㎡
コンクリート舗装8,000〜10,000円/㎡

この他、車止めを設置したり区画のラインを引いたりする場合は、別途費用がかかります。

コインパーキング

コインパーキングの初期費用は、土地の舗装費用と機械設置費用です。

それぞれの費用目安額は以下のとおり。

費用の種類費用
アスファルト舗装費4,000~6,000円/㎡
ロック版(車止め)10~25万円/台
料金精算機40~50万円/台
照明や看板60~70万円/台

なお、コインパーキングでは各種機械を設置するため、土地はアスファルト舗装にするのが一般的です。

駐車場で土地活用する場合、以下の方式があります。

  • 自主経営方式
  • 管理委託方式
  • 一括借り上げ方式

駐車場運営業者に土地を貸す「一括借り上げ方式」の場合は、業者が機械設置費用を負担するため、初期費用0円から始められます。

土地活用で初期費用をかけたくない場合は、選択肢のひとつとなるでしょう。

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ロードサイド店舗の初期費用

ロードサイド店舗の代表的なものであるコンビニの建築費の相場は、4000万円以上が目安。

ロードサイド店舗を検討する場合、前面道路が広く十分な交通量があるか、ロードサイド店舗の需要がある地域か分析が必要です。

駐車場が十分とれるスペースがあるかも重要でしょう。

ロードサイド店舗の土地活用は、以下の2とおりの方法があります。

  • 土地を賃貸してテナントが建物を建築して営業する
  • 土地オーナーが建物を建ててテナントに賃貸する

土地を賃貸する場合、建築費はテナントが負担するので初期費用なしで始められます。

ただし、地代は家賃より安くなるのが一般的であることに留意しましょう。

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賃貸アパート・マンションの初期費用

アパートと賃貸マンションでは構造と階層が異なるため、通常賃貸マンションの建築費の方が高くなります。

種類構造および階層初期費用
アパート・木造や鉄骨造が多い ・通常2~3階建て数千万円以上
賃貸マンション・鉄筋コンクリート造が多い ・3階建以上5,000万円以上

建物構造別の坪当たり建築費の目安は、下の表のとおりです。

建物構造建築費
木造80万円/坪~
鉄骨造90万円/坪~
鉄筋コンクリート造95万円/坪~

なお、建築費は建物構造だけでなく、使用する資材や立地、建物階層によっても変わります。

賃貸アパート・マンションを検討している場合は、建築会社などに相談してみましょう。

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土地活用は初期費用だけでなく利回りも考慮しよう

土地活用法を決めるに当たって、初期費用だけに注目しがちですが、実は「利回り」も重要な指標です。

土地活用における「利回り」とは

「利回り」とは、投資した額(初期費用)に対して、一定期間で得られる収益の割合のこと。

利回り = 1年間の収益 ÷ 投資額(初期費用)

たとえば、初期費用が1億円で1年間の収益が500万円だとすると、利回りは以下のとおり5%となります。

5,000,000 ÷ 100,000,000 = 0.05 (5%)

この式からも分かるように、利回りが高くなるのは、以下の2とおりです。

  • 初期費用が安い
  • 収益が高い

たとえば、同じ立地のアパートとマンションでは、アパートの方が初期費用は安く、収益はマンションの方が高い傾向があります。

このため、アパートとマンションのどちらの利回りが高いかはケースバイケースです。

土地活用に当たっては、初期費用と収益の両方を考慮できる「利回り」にも注目しましょう。

土地活用法により利回りは異なる

土地活用法によって利回りは異なるもの。

オフィスや店舗を賃貸する土地活用は、住宅より高い家賃を設定できることから、利回りが高い傾向にあります。

賃貸アパート・マンションの土地活用は、建物を建てない駐車場などの土地活用に比べて初期費用がかかりがちです。

ただ、家賃はオフィスや店舗より安いものの、地代に比べるとずっと高い金額を徴収できます。

立地が良く家賃水準が高ければ、高利回りを実現することも可能でしょう。

土地を賃貸する土地活用の場合、初期費用はほとんどかからないものの、地代が一般的に低水準なので、利回りも低い傾向にあります。

ただし、立地条件が良く高い地代を徴収できる場合は、高利回りにケースもあります。

土地活用法によって、初期費用が安くても利回りが低いこともありますし、逆に初期費用が高くても得られる収益によっては利回りが高くなることがあるため一概に判断できません。

収益の安定性も重要

それでは、利回りは高ければ高いほどいいのでしょうか。

実は、土地活用においては、収益の安定性も重要です。

利回りは、1年間の収益を基に計算します。

ただ、将来にわたって同じ額の収益を得られるとは限りません。

そこで、将来にわたって安定的な収益を得られる土地活用法かどうかを検討することも必要なのです。

たとえば、オフィスビルや店舗ビル、ロードサイド店舗などの土地活用では、賃料水準が景気に左右される傾向にあります。

特にロードサイド店舗は、建物が最初のテナントの要望に沿って建てられていることが多く、事業者が撤退した後に、次の借り手を見つけづらいことがあります。

一方、住宅系の賃貸経営は、安定的な収益が得られやすい土地活用法です。

中でも、サ高住や老人ホームはあまり立地を選ばないため、立地が優れていなくても安定的な収益を得やすい土地活用法なのです。

土地活用では、初期費用だけでなく利回りや収益の安定性も考慮することが必要です。

土地活用に詳しい会社に相談して、プロの意見を聞くのもよいでしょう。

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土地活用にかかる初期費用の資金調達方法

土地活用に必要な初期費用は、以下の方法で資金調達できます。

  • 自己資金
  • ローン
  • 建設協力金方式
  • 事業用定期借地権方式
  • 補助金

自己資金で土地活用する

初期費用の全額を、自己資金で賄う方法です。

自己資金で土地活用を始める場合、金融機関からのローンを利用する場合に支払う金利分が不要になるというメリットがあります。

一方、急な入院費用や老後の生活資金など、将来必要となり得る資金が不足しないように注意が必要です。

資金に十分な余裕がある場合を除いて、ローンの利用も検討した方がよいでしょう。

ローンを利用して土地活用する

初期費用を、金融機関のローンを利用して資金調達する方法です。

ローンの種類には、銀行などから借り入れる「民間ローン」と、住宅金融支援機構などの公的機関から借り入れる「公的ローン」があります。

土地活用に関連する民間ローンは、主に以下の3つが挙げられます。

  • アパートローン
  • 住宅ローン
  • 一般金融ローン

住宅金融支援機構が提供する公的ローンは、主に賃貸経営を対象とした以下の2つです。

  • 子育て世帯向け省エネ賃貸住宅融資
  • サービス付き高齢者向け 賃貸住宅建設融資

民間ローンや公的ローンの種類と、それぞれの概要は、下の表のとおりです。

ローンの種類ローンの概要
民間ローンアパートローン・賃貸経営(アパートやサ高住など)が対象 ・返済期間は最長35年間程度
住宅ローン・賃貸併用住宅(床面積の50%以上が自宅)が対象 ・返済期間は最長35年間程度 ・アパートローンより金利が低い
一般金融ローン・賃貸経営以外の土地活用で利用可能 ・返済期間は最長7年間程度
公的ローン子育て世帯向け省エネ 賃貸住宅建設融資・若いファミリー世帯向けの賃貸住宅が対象 ・一戸当たりの床面積は50㎡以上
サービス付き高齢者向け 賃貸住宅建設融資・単身者や高齢者向けの賃貸住宅 ・一戸当たりの床面積は18㎡以上もしくは25㎡以上(一般住宅型と施設共用型で異なる)

なお、ローンを利用する場合であっても、自己資金なしでは審査に通らない可能性があります。

初期費用の1~2割程度は、自己資金を用意しておいた方が良いでしょう。

土地活用の収益の予測を立て、余裕のある返済計画を立てることも大切です。

建設協力金(リースバック)方式を採用する

「建設協力金(リースバック)方式」を採用して、初期費用を賄う方法です。

建設協力金(リースバック)方式は、コンビニなどのロードサイド店舗でよく採用されている方式。

初期費用の建物建築費に、事業者が支払う「建設協力金」を充てます。

土地オーナーは事業開始後、家賃から建設協力金の月額返済分を差し引いた残りの額を受け取ります。

ロードサイド店舗の需要がある立地であれば、初期費用がなくても土地活用を始められるのがメリット。

ただ、建物はテナント仕様で建てるため、契約期間満了後に新たな借り手を見つけにくいデメリットもあります。

事業用定期借地権方式を採用する

「事業用定期借地権方式」は、ロードサイドの大型商業施設で採用されることが多い方式です。

土地オーナーは土地を賃貸するだけで、事業者が建物を建設し運営します。

「事業用定期借地権」とは、事業に使う目的で土地を賃貸するもので、契約期間は10年間以上50年間未満。

契約期間満了後は更地で返還されるため、用途変更が容易です。

ただ、商業施設等の需要がある地域でなければ、借り手が見つかりにくいでしょう。

需要がある地域なのか、慎重に見極めましょう。

事業用定期借地権方式では初期費用なしで土地活用を始められますが、よほど優れた立地である場合を除いて、地代は家賃に比べて低い水準であるのが一般的です。

補助金を申請する

建築費などの初期費用の一部を、補助金で賄う方法です。

一定の条件を満たす建物の建築費に対して、国や自治体から補助金が出る場合があります。

たとえば、「サ高住」の新築に当たっては、最大で建築費の10分の1の補助金が受けられる国の制度があります。

仮に、サ高住の建築費が2億円だったとすると、補助金が最大で2千万円交付され、初期費用を抑えることができます。

なお、一戸当たりの補助金上限額は下表のとおりです。

一戸当たり床面積補助金限度額
30㎡以上135万円/戸
25㎡以上120万円/戸
25㎡未満70万円/戸

建築費の10分の1か、一戸当たりの補助金限度額のどちらか小さい方が補助金支給額となります。

補助金申請に当たっては、各戸の床面積が25㎡以上であることなど様々な条件があるため、事前によく確認しておきましょう。

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まとめ

土地活用にかかる初期費用は、土地がすぐに活用できる状態にあるか、どんな土地活用法を採用するかによって、大きく変わります。

初期費用の中で通常一番大きい額を占めるのは建築費です。

資金調達方法には以下のようなものがあります。

  • 自己資金で賄う
  • ローンを利用する
  • 建設協力金方式を採用する
  • 事業用定期借地権方式を採用する
  • 国や自治体からの補助金を申請する

特に、高齢者施設のように社会的に需要が高まっている施設を建設する場合は、国や自治体から補助金が支給されることもあるので、ぜひ検討しましょう。

なお、土地活用法を決める際には、初期費用の額だけでなく、将来にわたる収益の安定性、収益と初期費用の関係性を示す利回りも重要です。

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