高齢化社会が進行し、65歳以上の人口割合が21%を超えた状態を「超高齢社会」といいます 。超高齢社会を迎えて久しい日本では、土地活用の領域でも「高齢化に対応した福祉施設」が注目されています。
ここでは、医療施設・介護施設・障害者施設などの福祉施設を用いた土地活用について、超高齢社会の現況と開業のメリットを解説します。また土地活用で見られる、主な福祉施設6種もご紹介します。
超高齢社会と福祉施設の現況
日本における65歳以上の人口割合は年々上昇を続け、2007年には「超高齢社会」と呼ばれる段階に突入 しました。加えて2025年には、いわゆる「団塊の世代」にあたる800万人 が75歳以上の後期高齢者になり、認知症患者や老老介護世帯、高齢者の単身世帯などが急速に増加するといわれています。
一方、高齢者の受け皿として機能すべき老人ホームや医療施設、介護施設、障害者施設といった福祉施設の数は需要に追いついていません。
福祉施設で土地活用をするメリット
医療施設・介護施設・障害者施設などの福祉施設で土地活用をするメリットは、収入だけではありません。どのようなメリットがあるのか、具体的に見ていきましょう。
長期的な需要が見込める
アパート・マンションや駐車場などの経営と同様に、土地活用をする際には需要の見極めが重要です。
超高齢社会となった現況と未来予測を踏まえると、医療施設・介護施設・障害者施設の需要は減ることがなく、むしろ増えるばかりです。福祉施設による土地活用は、長期的に安定した収入が見込める点がメリットといえます。
補助金・助成金で開業時の初期費用を抑えられる
高齢者が増えたことによって、福祉施設の需要は高まりましたが、その数はまだ不十分です。福祉建設の開業には、国や自治体が補助金・助成金制度を用意している場合もあり、それらを活用することで開業による建設費など、初期費用を抑えられるメリットもあります。
地域に社会貢献ができる
福祉施設の不足は、一人暮らしの高齢者の孤立や介護者の負担増加につながります。高齢化が進む地域では特に、福祉施設を建てることによる社会貢献度は高いでしょう。所有する土地を活用して、地域に社会貢献をすることができるのです。
土地活用で見られる6つの福祉施設
土地活用で見られる福祉施設は、主に6つあります。それぞれどのような施設なのか、具体的に見ていきましょう。
医療施設
医療施設には2つの種類があります。ひとつが地域の患者に向けた外来診療を中心とする「クリニック(診療所)」。もうひとつが、20床以上の入院病床があり、救急医療や高度医療、専門医療などを提供する「病院」です。
1つでも病床がある100平方以上のクリニックや診療所、病院は「特殊建築物」に該当するため、建築基準法や都市計画法、消防法など、複数の法律に準拠する必要があり、建築確認が必要となります。
有料老人ホーム
有料老人ホームは「健康型」「住宅型」「介護付」などに分類され、それぞれ提供するサービスが異なります。
健康型は、自立状態の方の家事や食事のサポートが中心です。住宅型は、自立できる方、要支援や要介護度が低い方まで、幅広い生活支援が受けられます。健康型は要介護状態になったら、住宅型は要介護度が高くなってしまったら退去しなくてはいけません。介護付は、介護や生活支援を受けながら生活ができる施設です。
シニア向け分譲マンション
ケア付き高齢者住宅は、シニア向けの分譲・賃貸マンションです。年齢を重ねても住みやすいよう工夫されている住まいで、共用設備が充実しています。生活支援や介護サービスなどの有無は、物件によって異なります。
サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅は、いわゆる「サ高住(さこうじゅう)」と呼ばれる施設です。自立状態にある高齢者向けの賃貸住宅で、安否確認や生活相談、施設によっては掃除・洗濯、買い物代行などのサポートが受けられます。あくまでも賃貸形式の住宅のため、有料老人ホームや賃貸型の高齢者ケア対応型マンションに比べて、家賃設定は相場相当の物件が多めです。
デイサービス
デイサービスは、高齢者が自宅や施設から通い、日帰りで利用する施設です。食事、入浴などのサービスや、身体状況に応じたリハビリ、レクリエーションなどが受けられます。
グループホーム
グループホームは、障害のある人や認知症の高齢者が、家庭的な雰囲気の中で共同生活を送る施設です。スタッフが常駐して生活をサポートします。
見守りや通院介助、緊急時の対応といった日常的なケアが中心となり、医療行為は基本的に行いません。
所有する土地にぴったりの福祉施設で土地活用を
今回は、土地活用の手段として考えられる医療施設・介護施設・福祉施設についてご紹介しました。福祉施設の運営は、入居を希望する人やその家族の期待に応えられる、社会的意義のある事業です。福祉施設の需要は今後も高まり続けるため、長期的に安定した収入が見込める土地活用法でしょう。
また福祉施設を建設する際は、補助金・助成金を活用することで、開業時の初期費用を圧縮することができる点もポイントです。
しかし実際は、所有する土地の面積や立地によって、どの福祉施設を建設すべきかの判断は異なります。
それぞれの土地の特徴を活かして安定した収入を得られるよう、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。