不動産経営・相続・譲渡などさまざまな理由で土地を所有しているが、どう活用したらよいのかお悩みの方も多いのではないでしょうか?
特に相続・譲渡で土地を譲り受けた地主の場合、適切な土地活用の方法について知らないまま、土地を放置しているといったケースも多数見受けられます。
土地活用でお悩みの方向けに、この記事では土地活用として高齢者施設の土地活用についてのメリット・デメリットや必要な条件を丁寧に解説していきます。
株式会社タカオでは、土地の仲介や施設出店でさまざまな実績を重ねてきました。これまでの実績や経験をもとに分かりやすく解説するので、ぜひ最後まで記事をご覧いただき、適切な土地活用の方法を探りましょう。
高齢者施設で土地活用を行うメリット
土地活用として高齢者施設を経営する代表的なメリット3点をまとめました。
- 郊外の土地でも運営ができる
- 補助金などの優遇制度がある
- 収益が安定している
ここからは各メリットについて詳しく解説をしていきます。
郊外の土地でも運営ができる
集合住宅や商業施設等の経営が難しいとされる市街地から離れた土地でも、土地活用の候補として考えられる点が高齢者施設で土地活用を行うメリットです。
高齢者施設の場合、市街地よりも閑静な住宅街など、静かな環境が好まれる傾向にあります。
ただし、主要な駅から離れている土地の場合はバス停が徒歩圏内にある場所が良いでしょう。 たとえ閑静な住宅街でも、通いにくい場所では利用者が集まりにくいことが考えられます。
補助金などの優遇制度がある
現在は介護施設の建設や運営にあたり、国や自治体がさまざまな補助金・税制優遇などの制度を設けています。
例えば、厚生労働省が定めている「介護労働環境向上奨励金」を活用すると、内容によって300万円または100万円を上限として、支払った費用の1/2の支給が受けられるのです。
しかし、今後高齢者の増加に伴い高齢者施設の数も増加した場合は、補助金・税制優遇の制度が変更になる可能性もあるので注意が必要です。
収益が安定している
高齢者施設を介護事業者に貸し出す場合、一棟貸しでの契約となるケースが多く、借り手さえ見つかればアパート、マンション経営のような空室リスクはありません。
一棟貸しの物件は固定料金が毎月得られるため、長期で安定収益が確保しやすいのが特徴です。
高齢者施設は需要が大きく、入居待ちが発生しているケースも多いことから、入居者が見つからずに収益化が難しいという可能性は比較的低いと考えられます。
高齢者施設経営のデメリットや注意点
高齢者施設の経営には、デメリットや注意しなければいけない点も多くあります。
代表的なデメリット、注意点を以下に3点まとめました。
- 賃料下落のリスクがある
- 施設の転用が難しい
- 初期投資の額が大きくなる可能性がある
土地活用として高齢者施設の経営に取り組む前に必ず頭に入れておきましょう。
賃料下落のリスクがある
高齢者施設経営において、補助金や税制優遇の活用ができる点はデメリットになる可能性もあります。
介護施設や高齢者施設の収入源には自治体からの介護報酬というものがあり、その金額は3年ごとに改定されることになっています。
しかし、介護報酬が引き下げられるケースも多く、安定した収入源として見込みにくい側面もあることを理解した方がよいでしょう。
【介護報酬の改定率の推移】
年度 | 改定率 |
平成15年度 | ▲2.3% |
平成18年度 | ▲2.4% |
平成21年度 | 3.0% |
平成24年度 | 1.2% |
平成27年度 | ▲2.27% |
平成30年度 | 0.54% |
令和3年度 | 0.70% |
厚生労働省「令和3年度介護報酬改定の主な事項について」をもとに作成
改定によって数%もの収益が減ってしまうのは、経営者にとって大きなダメージとなります。
介護報酬に頼らなくても収益があがる経営状態を目指しましょう。
施設の転用が難しい
高齢者施設の建物は専用設備の設置や間取りが特殊なケースも多く、他の施設への転用が難しいというデメリットがあります。
また、高齢者施設は地域に根付いた施設です。
利用者や地元の人との結びつきが強いため、簡単に解約することは困難だと考えられます。
建物を転用できずに自分が困ってしまう事態を避けるためにも、テナント契約時にできるだけ長期の契約を結ぶようにしましょう。
初期投資の額が大きくなる可能性がある
高齢者施設の建設には、クリアすべきさまざまな要件が存在します。
そのため、賃貸物件に比べて施設建設における初期投資の額が大きくなる傾向にあるため、注意が必要です。
有料老人ホーム建設時の要件を5つ例に記載しますので、参考にしてください。
- 廊下の幅は、片廊下の場合1.8m以上とし、中廊下の場合は2.7m以上とすること
- 廊下、便所、その他必要な場所には常夜灯を設置すること
- 廊下及び階段には手すりを設置すること
- 階段の傾斜は緩やかにすること
- 居室等が2階以上にある1箇所以上の傾斜路を設置すること
ただしエレベーターを設置する場合はこの限りではない
高齢者施設に適している土地の条件
高齢者施設経営に適した土地の条件も存在します。うまく収益を得るためには、高齢者施設に適した土地の条件を事前に把握しておくことが大切です。
- 300~500坪の土地
- 車やバスでのアクセスが良い
それぞれの条件について解説していきます。
300~500坪の土地
高齢者施設を建設するには、広い土地が必要です。実際に介護用地の募集要件は300坪以上である場合も多いため、ご自身がお持ちの土地の広さについては、一度正確に調べておくとよいでしょう。
お持ちの土地の広さが要件に満たない場合は、規模の小さい介護施設の建設も選択肢となります。デイサービス、グループホームであれば150坪〜、小規模多機能型住居介護であれば100坪〜の広さでも開業の検討が可能です。
車やバスでのアクセスが良好
高齢者施設の入居者が、電車や自家用車を使って施設を訪れるというのは大変稀なケースです。大半の方は、家族の送り迎えやバス、施設の送迎車などを用いて高齢者施設を訪れることになります。
そのため、山間部や住宅地から大きく離れた場所など、車でもアクセスに時間を要する土地は高齢者施設の建設には不向きです。
このような土地に高齢者施設を建設してしまうと、利用者が集まらず収益が見込めない可能性もあるので、事前にアクセスのよさは調査しておきましょう。
土地活用における高齢者施設の種類
高齢者施設には多くの種類があり、それぞれで特徴やサービスが異なります。以下の代表的な4つの施設について解説します。
- 介護付き有料老人ホーム
- 住宅型有料老人ホーム
- サービス付き高齢者向け住宅
- グループホーム
それぞれの施設の特徴や、どの施設が土地活用に適切か参考にしてください。
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームは介護スタッフが24時間常駐しており、食事や入浴の日常生活における介護サービスに加えて、レクリエーションなどのサービスが充実した施設となっています。
入居要件は施設によって異なり、介護度が軽い方から重い方まで幅広く利用できる施設です。
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは主に自立した方や要支援もしくは要介護度が低い高齢者の方を対象とした施設となります。
介護が必要な場合、外部のサービスを利用し、その分の料金を別で支払う点が特徴です。一人ひとりに合ったサービスを提供できる施設と言えます。
サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅は、高齢者が自立した生活が行えるよう、生活に関する相談や安否の確認などのサポートが受けられる住宅です。
大きく「一般型」と「介護型」に分けられます。「一般型」では要介護度が重くなった場合に退去しなくてはいけない可能性があり、介護サービスが必要となったときは外部のサービスを利用します。「介護型」は要介護度が重くても入居可能であり、介護サービスは常駐しているスタッフから受けられるのが特徴です。
グループホーム
グループホームとは、認知症高齢者を対象にした共同生活を送るための施設です。利用者は専門のスタッフの支援を受けながら、1ユニットあたり 5~9人ほどの人と自立した生活を目指します。
入居者自身が家事などを行うため、より家庭的な環境で日々を過ごせることが特徴です。
具体的な土地活用の方法
現在持っている土地を活用する場合、どのような手法があるのかについて、代表的な土地活用の方法を3つご紹介していきます。
土地を貸す
最も簡単な方法が土地のみを貸す方法です。
建物の建設や取り壊しは介護事業者に任せることが可能なため、初期費用もかからず、高齢者施設の経営がうまくいかなかった場合のリスクが少なくなります。
土地を売る
介護事業者などに土地をまるごと売ってしまうことも方法の1つです。
まとまった金額も得られるため、現在の土地を手放しても良いと考えている場合、選択肢の1つになります。
建物を建てて貸す
自身で高齢者施設を建設し、介護事業者に貸し出すという方法です。
建築費の自己負担は大きくなりますが、土地・建物を合わせた賃料が毎月得られるため、土地のみを貸すケースよりも収益性を期待できるでしょう。
高齢者施設は土地活用の有力な選択肢
土地活用の方法として、高齢者施設の経営は有力な選択肢になります。
しかし、土地活用や高齢者施設の建設における専門知識が無い場合、効果的な資金繰りが難しいケースや、損失に繋がるケースも少なくありません。
そうならないためにも、高齢者施設の土地活用の実績を持つ専門家のサポートが必要となります。
現在お持ちの土地を有効活用する方法を一緒に探っていきましょう。