介護事業を経営している方や介護事業の経営を考えている方は、事業における集客方法について詳しく知らないケースもあるでしょう。
人口の高齢化により介護事業の需要は近年高まっているため、介護施設の建設を考えているエリアには、すでに競合の施設があるということも珍しくありません。
この記事では介護施設の経営において重要な課題である集客の方法について、具体的な手法を交えて解説を行います。
ぜひ最後までご覧いただき、介護事業における集客の方法について理解を深めましょう。
介護事業の経営において知るべきこと
国内の高齢者の数は年々増え続けています。
総務省統計局の調査によると、2021年9月の推計では、65歳以上の高齢者は3640万人と過去最多を記録しました。2040年には、65歳以上の高齢者の人口は3921万人となる見込みです。
そのため、介護事業の需要はこれからさらに高まっていくことが予想できます。
しかし、介護事業の経営においては、集客という課題を乗り越えなければなりません。
- 介護事業の競争環境は激しくなってきている
- 収益が悪化傾向にある
- 外注化に頼り過ぎるのは良くない
経営後に集客で困らないように、代表的な3点について解説します。
介護事業の競争環境は激しくなってきている
人口の高齢化により、介護事業の需要は段々と高まっています。
裏を返せば、介護事業に参入する事業者が増え、自身が経営する施設の周辺にライバルとなる介護施設・サービスができていくことも考えられるでしょう。
厚生労働省が毎年実施している社会福祉施設等調査の概況によると、令和2年度から令和3年度の間で、有料老人ホームは768 施設増加しており、介護事業における競争環境はますます激しくなっていくと予想されます。
収益が悪化傾向にある
厚生労働省の「令和4年度介護事業経営概況調査」によると、介護サービス全体で見ると令和3年度は令和2年度に比べて収益差率が0.9%悪化しました
コロナ禍の影響により、サービスの利用控えが一因にあると考えられています。
その他の介護施設でもコロナ感染対策費用をはじめとした経費の増額により、利益率の低下がみられます。
各介護施設の経営においては入居者やサービス利用者の定着を図り、強固な経営基盤の構築が必須となるでしょう。
外注化に頼り過ぎるのは良くない
介護施設の集客においては、施設HPやチラシなどの制作が必要です。
しかし、ホームページやチラシなどの制作経験がないからといって、企画やデザインをすべて外注するのは、好ましくありません。
ホームページ制作会社やデザイナーへ丸投げでは、介護施設のコンセプトや強み、想いをすべて汲み取ってもらうことは不可能だからです。
結果的に集客効果のない制作物が納品される可能性も高くなるため、実績があり信頼できる業者をしっかりと選定し、制作におけるコンセプトなどを時間をかけて擦り合わせる必要があります。
介護事業で集客を成功させるコツ
厚生労働省の調査によると、全国の介護事業所の数は、すべて合わせると85,000箇所を超えています。
介護施設の集客を行うことは、全国の事業所の中から、自社の事業所を選んで契約してもらうことに他なりません。
集客を行う際には、以下の3点に注意して施策を検討しましょう。
- 自社の強みを明確にする
- 営業頻度を高める
- 営業ツールを整える
それぞれの項目について、詳しく解説していきます。
自社の強みを明確にする
介護施設の利用を検討している方から契約をしてもらうためには、自社の強みや他の事業者との違いを明確にしておく必要があります。
しかし、介護保険内のサービスは内容や料金に違いが出にくいため、強みを見出すことは難しいケースも多いです。
そのため、切り口を変えて、さまざまな角度から自社の強みや他の事業者との違いを探していく必要があります。
自社の介護施設が提供できる価値を明確にし、独自のリハビリプログラムや食事へのこだわりといった付加価値を加えるなど、強みを明確に打ち出せるようにしましょう。
営業頻度を高める
実務が忙しく、営業に時間をかけられないという方も多いかもしれません。しかし、訪問をはじめとした営業活動は頻度を高め、継続的に実施していく必要があります。
介護施設では、体調や要介護度の変化などで施設から退去しなければいけないケースもあり、入居者や契約者の入れ替わりを常に想定しておかなければなりません。
急な退去や契約解除によって利用率が低下すれば、当然収益は減少します。
まずは定期的に地域のケアマネージャーなどに訪問し、担当者との信頼関係を構築していきましょう。
担当者との信頼関係ができれば、介護施設への入居を検討している方に、自社の施設を紹介してもらえる可能性も高まるでしょう。
営業ツールを整える
施設の特徴や魅力を伝えるためには、営業ツールの整備が必要となります。
代表的な物は、パンフレット、ホームページ、ケアプランモデルの資料などです。
いずれのツールも、自社のコンセプトや強みを打ち出し、統一感のあるデザインに整えるように意識しましょう。
ツールはさまざまな方が閲覧しやすいように、専門用語は使いすぎないように注意が必要です。契約を検討されている方の目線に立って、事業者が提供するサービスの理解が進むような画像、文章、レイアウトを意識して制作を行うことで読者の理解が深まります。
利用者はどのように入所施設を探すのか
介護施設を探すのは、主に介護が必要な方の家族です。
高齢の家族を持ち、介護施設を探す方となると、50代前後の方が多いと考えられます。
50代前後の方が介護施設を探す際に利用する代表的な手法としては、下記の2点があげられます。
- インターネットでの検索
- 役所の情報
利用者の経路を知って、適切な集客を行いましょう。
インターネットでの検索
最も代表的な方法は、インターネットでの検索です。
「介護施設」「老人ホーム」など、施設の種類を表す単語と、介護が必要な方や自身の住んでいる地域を組み合わせて検索するケースが多いと考えられます。
そのため、ホームページを制作する場合には、検索が行われた際に検索結果の上位に自社サイトが位置できるように工夫を行う必要があるため、サイト制作から運用までの知識が豊富な業者を選定することが必要です。
役所の情報
介護が必要になった際に、要介護認定や介護保険制度利用の手続きを進めるのは、居住地の市区町村役場です。
そのため、介護施設などの相談の入口になることも少なくありません。役所の担当者は国や地域の介護におけるシステムを理解している方が多いので、精度の高い情報を得られる可能性が高いと考えられます。
介護事業が集客するための具体的な営業先
施設・サービスへの集客を安定的に行うためには、適切な営業先の選定が不可欠です。
集客をうまく行うためには、介護施設や介護サービスの利用を考えている方の相談先と繋がっておくことが重要となります。
ここからは、介護施設・サービス利用の検討者の代表的な相談先5つをご紹介します。
- ケアマネジャー
- 地域包括支援センター
- 居宅介護支援事業
- 医療機関
- 地域住民
それぞれの特徴を理解して、集客に活かしましょう。
ケアマネージャー
ケアマネージャーとは要介護者や要支援者からの相談を受け、心身の状況に応じ、ケアプランの作成や市町村・サービス事業者と連絡調整を行う職業です。
ケアマネージャーの情報は自治体や地域包括支援センターに置かれている「ハートぺージ」という介護情報冊子に掲載されています。介護サービスの利用を検討されている方は、ハートページからケアマネージャーを探して介護サービスの紹介などを受けるケースも多く見受けられます。
そのため、ケアマネージャーと信頼関係を築くことで、自社の介護サービスを紹介してもらえる確率を高められるのです。
ケアマネージャーとつながるにはハートページから直接連絡をする他に、自社の介護サービスを紹介するイベントを開き、ケアマネージャーを招待するといった方法も有効です。
地域包括支援センター
地域包括支援センターは、高齢者の暮らしを地域でサポートするために自治体が設置した施設で、全国に約5,000箇所存在しています。
地域包括支援センターには、社会福祉士・保健師・ケアマネージャーなどが在籍し、高齢者のための相談窓口としての機能を担っています。
地域包括支援センターとの関係を持っておくことで主に要支援の方に自社施設を紹介してもらえる可能性が高まると言われています。
居宅介護支援事業所
居宅介護支援事業所とは、介護保険サービスを受ける要介護者のために、在宅介護に関する相談やケアプラン作成、連絡・調整を総合的に引き受ける事業所です。
介護保険申請の代行から介護サービスの契約までを担っているため、関係性を築いておくことで、訪問介護や、通所介護を必要とする方に自社施設を紹介してもらえる可能性があります。
医療機関
地域の医療機関も営業先の1つで、主にメディカルソーシャルワーカーやリハビリスタッフに営業を行います。
特に有効なのは、回復期リハビリテーション病院の地域連携室に所属してるメディカルソーシャルワーカーへの営業です。
ただし医療依存度が高い患者様の対応をしているケースが多いため、自社施設で受け入れができるのか必ず確認しましょう。
地域住民
地域住民への認知獲得も有効な手段の1つと言えます。
最も簡単な営業の方法は、各家庭へのチラシのポスティングなどです。他にも地域住民への説明会の開催や、地域の高齢者が集まるイベントへの出店を行い、地域住民の認知を得ることも有効です。
万が一、介護が必要になった際に選択肢として自社の介護事業を思い出してもらえる可能性が高まることが予想されます。
介護事業の具体的な集客手法
現在はインターネットがかなり普及し、各施設がホームページを持つことが当たり前となりました。しかし、単にホームページを作ったり、チラシを作るだけでは効果的な集客は望めません。
- チラシ、パンフレットのポスティング
- 施設見学のイベント
- ホームページの整備
- 広告の運用
- SNSの運用
集客方法の代表的な5点をあげながら、効果の高い集客方法のコツを解説していきます。
チラシ、パンフレットのポスティング
介護事業を行っていくうえで、チラシやパンフレットは必ず準備しましょう。これらはサービスを展開するエリアに住む高齢者に直接アプローチできることが特徴です。何よりチラシやパンフレットのメリットは、本人に直接手渡しができる点です。
ポスティングを行う際は、可能であれば在宅のタイミングを見計らい、直接施設の説明を行うことで理解促進を図ることをオススメします。
しかし、配布の枚数はポスト投函と比べると大きく減少するため、ポスティングの方針と戦略立案が大切となります。
施設の見学イベント
施設見学のイベント開催も有効な営業手段の1つです。施設が休みのタイミングなどを利用して、地域住民を招いて施設見学会や健康教室を企画することで、施設の存在を知ってもらうことができます。
また、ケアマネージャーを対象としたイベントを行うことで施設を知ってもらい、信頼構築ができれば介護を必要とする方に自社の施設を勧めてもらえる可能性も高まるでしょう。
ホームページの整備
ホームぺージの整備も介護事業の集客を行う上で欠かせません。介護施設のホームページは、主に要介護者の家族が見る場合が想定されるため、要介護者の家族のニーズを満たすホームページを整備する必要があります。
施設のコンセプト、特徴をしっかりと発信し、地域名と介護施設を検索した際に検索結果の上位に表示されるよう、対策を行うことも重要です。
広告の運用
介護事業の集客を効率的に行うために、広告を活用することも手段の1つとなります。
地域で発行されている新聞やフリーペーパー、地元の情報雑誌など地域に根ざした媒体への広告出稿を行うことで、広く認知を得られるのです。
また、現在はネット広告の活用も進んでいます。介護事業について調べている方や地域、年代を絞って広告の配信を行うことが可能なため、広告の活用を検討することもできるでしょう。
SNSの活用
SNSを活用することで集客も行えます。ツイッター、フェイスブック、インスタグラムなどを活用してコンテンツを発信していくことで、徐々にフォロワーを獲得し、認知を得ていくことが可能です。
多くのリーチが獲得できるようになるまでにはかなりの時間を要するため、休みなくコンテンツを発信し続ける必要があります。
かなり根気がいる業務になるため、コンテンツ制作を行う余裕がある方向けの施策になります。
介護事業の集客を効率化して安定した経営を実現しよう
介護事業の集客を行うには、自社の強みやコンセプトを設計する必要があり、自社のサービスを見直すいいきっかけになるでしょう。
また、営業の実施方針や広告戦略は実働に対しての成果が見合わないケースもあるため、緻密に戦略を立てて実行していく必要があります。
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