介護事業者が融資を受ける方法は?融資を受ける際のチェックポイントも解説
介護事業を運営する際には、多額の運転資金を用意する必要があります。
また、介護施設開所後に資金繰りで苦労する介護事業者は少なくないため、必要に応じて融資を受ける体制を整えることが大切です。
こちらの記事では、介護事業者が融資を受ける方法や、融資を受ける際にチェックするべきポイントなどを解説していきます。
介護施設の新規開業や事業拡大を検討している事業主の方に役立つ内容となっているので、ぜひ最後までご覧ください。
介護事業者が融資を受ける方法5選
介護事業者が融資を受ける方法は、下記のように日本政策金融公庫や金融機関の活用などが挙げられます。
- 日本政策金融公庫からの融資
- 福祉医療貸付制度の活用
- 金融機関からの融資
- ビジネスローンからの融資
- ファクタリングの活用
さまざまな資金調達手段があるため、ニーズに合わせて最適な融資方法を選択しましょう。
日本政策金融公庫からの融資
日本政策金融公庫とは、民間金融機関の補完を行いつつ、社会のニーズに対応して政策金融を機動的に実施する政府系金融機関です。
介護事業者が融資を受ける方法として、新創業融資制度・ソーシャルビジネス支援資金が挙げられます。
新創業融資制度
新創業融資制度とは、新たに事業を始める事業主、または事業開始後税務申告を2期終えていない事業主を対象に融資を行う制度です。
無担保・無保証で利用でき、最大で3,000万円(うち運転資金1,500万円)まで融資を受けることができます。
新規で介護事業を行う予定の事業主は、活用を検討する価値があります。
ソーシャルビジネス支援資金
ソーシャルビジネス支援資金とは、社会的課題の解決を目的とする事業を営む事業主に融資を行う制度です。
具体的に、融資に対象となる事業主は下記の通りです。
- NPO法人
- NPO法人以外で保育サービス事業、介護サービス事業等を営む事業主
- NPO法人以外で社会的課題の解決を目的とする事業を営む事業主
融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)となっており、大規模な設備投資が必要となる介護事業を行ううえで非常にありがたい制度といえます。
福祉医療貸付制度の活用
独立行政法人福祉医療機構では、国の福祉医療政策における政策目標を着実に推進するために「福祉医療貸付制度」という融資制度を用意しています。
「福祉貸付制度」と「医療貸付制度」に分かれており、対象となる施設は下記のように異なります。
償還期間が長く、固定かつ低金利で融資を受けることができる点が特徴です。
金融機関からの融資
銀行や信用金庫などの金融機関から融資を受ける方法もあります。
日本政策金融公庫や福祉医療貸付制度は、低金利で借りられる一方で審査が厳格です。融資に申し込んだからといって、すべての事業主が融資を受けられるわけではありません。
日本政策金融公庫や福祉医療貸付制度での融資に断られてしまった場合は、金融機関で相談してみましょう。
金融機関からの融資を受ける際に適用される際は、金利が担保や保証人の有無などで異なるため、複数の金融機関を比較検討することをおすすめします。
ビジネスローンからの融資
金融機関での融資に断られてしまった場合は、ビジネスローンの活用を検討しましょう。
ビジネスローンとは貸金業者が行っている事業主向け融資サービスで、金融機関よりも柔軟に審査を行ってくれる魅力があります。
適用される金利は金融機関よりも高いですが、最短即日融資にも対応している点が強みです。
ファクタリングの活用
ファクタリングとは、保有している売掛金を買い取ってくれる業者(ファクタリング会社)に売却して資金を調達する方法です。
介護事業者の場合、保有している介護報酬債権をファクタリング会社に売却する方法が挙げられます。
ファクタリングは「融資」ではないため、調達したお金に返済の義務が生じない点が特徴です。
介護報酬債権を売却した際に手数料を支払う必要がありますが、素早く資金を調達したいときに頼れるサービスです。
介護事業者が融資を受ける際にチェックするべきポイント
融資を受けた後は、計画的にお金を返済しなければなりません。
無計画に融資を受けると事業の運営に支障をきたしてしまう恐れがあるため、しっかりと各融資サービスを比較検討することが重要です。
以下で、介護事業者が融資を受ける際にチェックするべきポイントを解説します。
金利
金利が高いと支払う利息も多額になり、返済負担が重くなります。
一般的に融資を受けた資金の返済は長期に及ぶことから、金利は必ずチェックしましょう。
例えば、1,000万円を年利2%で借りて30年かけて返済する場合、総返済額は13,305,960円となります。
参考:知るぽると
一方で、1,000万円を年利5%で借りて30年かけて返済する場合、総返済額は19,325,520円です。
参考:知るぽると
金利は総返済額に大きな影響を与えることから、軽視するべきではありません。
なお、借り入れの金利が低い順に並べると下記のようになります。
- 日本政策金融公庫・福祉医療貸付制度
- 金融機関
- ビジネスローン
また、実際に返済のシミュレーションを立てて返済負担が過重にならないように気を付けましょう。
資金調達のスピード
実際に融資をしてくれるスピードも、各融資サービスによって異なります。
できるだけ早く資金調達したい場合は、最短即日融資に対応しているビジネスローンの活用が向いています。
一方で、資金調達を急いでおらず、できるだけ低金利で融資を受けたい場合は日本政策金融公庫や福祉医療貸付制度の活用を優先すると良いでしょう。
資金が必要になるタイミングと、実際に融資を受けられるタイミングを精査することが大切です。
返済期間
返済期間が長ければ月々の返済負担を抑えることができ、介護事業の運営に悪影響を及ぼすリスクを軽減できます。
逆に、返済期間が短いと月々の返済負担が重くなり、収益の大半が返済に充てられてしまう事態になりかねません。
金利と返済期間を鑑みて、綿密な返済シミュレーションを立てることが大切です。
担保・保証人の有無
融資サービスによって担保・保証人の有無が異なります。
特に、新規で介護事業を始める事業主の場合、十分な担保や保証人を用意できないケースは多いです。
申し込み条件を確認する意味でも、担保・保証人の有無は必ずチェックしましょう。
審査基準
各融資サービスでは、残念ながら審査基準が公開されていません。
しかし、一般的に審査が厳しい順に並べると下記のようになります。
- 日本政策金融公庫・福祉医療貸付制度
- 金融機関
- ビジネスローン
各金融機関ごと・ビジネスローン会社ごとでも審査基準は異なるため、複数の担当者と相談することをおすすめします。
融資審査に落ちる介護事業者の特徴
融資を申し込んでも、返済能力や事業の将来性に疑問がある場合は審査に落ちてしまう可能性が高いです。
以下で、融資審査に落ちる介護事業者の特徴を解説していきます。
開業する立地の介護需要が怪しい
介護事業の運営を通じて収益を高めるためには、介護需要がある場所に施設を設ける必要があります。
お金を融資する側から「介護需要が期待できないのでは?」と思われると、返済能力が疑われてしまうので注意が必要です。
介護施設を設けるエリアの高齢化率や要介護認定率など、集められるデータを活用しながら介護需要の有無を探りましょう。
信用情報に問題がある
信用情報とは、事業主や法人の「過去の金融情報」を指します。
例えば、過去に借入金の返済遅延を起こしている場合や税金の滞納などがある場合は「信用情報に問題がある」と判断されます。
信用情報に問題があると、お金を融資する側は貸し倒れのリスクを懸念するでしょう。
その結果、審査に通りづらくなるため信用情報をクリーンに保つことは非常に重要です。
事業計画が楽観的
事業計画や楽観的だと、悲観シナリオが起きてしまったときに事業が回らなくなってしまいます。
お金を借りるときには、事業運営にあたって起こりうるリスクを最大限織り込む必要があります。
リスクを見落として事業計画を練ると、想定外の問題が起こった際に対応できず事業閉鎖に追い込まれかねません。
そのため、お金を融資する側に「事業計画や資金計画が楽観的」と見られると、貸し倒れのリスクが高いと判断され審査に落ちてしまいます。
詳しくは以下の記事にてご確認ください。
介護の事業計画書の書き方を徹底解説!作成する際の注意点も紹介
保証人・担保の不足
保証人・担保が不要の融資サービスもありますが、一般的に保証人・担保を用意できたほうが審査に通りやすくなります。
また、そもそも融資を申し込む条件として保証人・担保を要求しているケースもあるため、事前に確認することが重要です。
介護事業者が融資に通るコツ
介護事業者が融資を受けやすくするには、事業の将来性や信頼性を高める必要があります。
以下で、介護事業者が融資に通りやすくなるコツを解説します。
自己資金を多く用意する
自己資金を多く用意できれば返済能力の高さを証明できるため、審査に通りやすくなります。
また、自己資金が多ければ融資を受ける金額も抑えられるため、貸し倒れのリスクが低いと判断されるでしょう。
財務基盤の安定感が高ければ信用を得やすいため、介護事業を展開する際には多くの自己資金を用意しましょう。
事業計画を明確にする
事業計画を明確にすることも、審査に通りやすくなるために欠かせません。
一般的に、融資の申し込みをする際には事業計画書の提出が求められます。
事業の将来性や長期的な返済能力の有無は、事業計画書を参考にしながら判断するため、事業計画が明確であれば信頼を得やすいです。
起こりうるリスクを織り込み、どのような対応をするのか事業計画書に明記すれば、融資をする側に安心感を与えられるでしょう。
返済計画を入念に練る
事業計画とあわせて、融資を受けたお金の返済計画を立てることも重要です。
金利や返済期間を鑑みて余裕のある返済計画を立てれば、想定外の事態に陥っても返済を続けることができます。
返済能力の高さを証明できれば信用の向上につながるため、審査に通りやすくなるでしょう。
福祉施設の土地活用の実績のある会社に相談する
介護需要のある立地を判断するためには、福祉の知見も持ち合わせており、またその土地の事情に詳しい土地活用業者に相談することが有力な手段となります。
土地活用業者は土地の活用方法に関する専門家です。
土地の特性や需要に精通しており、どのような介護施設の需要があるのか・今後見込まれるのかを分析してくれるでしょう。
介護需要のある土地を探している事業主の方は「タカオ」へ相談して、専門的なサポートを受けてみてはいかがでしょうか。
事前に収益シミュレーションをすることが大切
介護事業者として安定的に収益を出すためには、事前に収益シミュレーションをすることが大切です。
想定される介護施設利用者の数や将来的な高齢者数の展望などを踏まえて、入念にシミュレーションを作りましょう。
シミュレーションを怠ったり不十分だったりすると、想定外の事態に陥った時に事業運営に支障をきたしてしまいます。
必要に応じて土地活用業者のサポートを受けながら、収益シミュレーションを何パターンか作成することをおすすめします。
介護事業の運営にはスムーズに融資を受けることが大切
介護事業を開始して融資を受ける方法はいくつかあります。
信用情報に問題がある場合や返済能力に不安があると、融資の審査に落ちてしまうでしょう。
収益のシミュレーションを立て、土地活用業者から介護需要に関する専門的なアドバイスをもらうことで、健全に介護事業を営むことができます。
介護事業をこれから立ち上げるにあたり事業計画書や事業収支のシュミレーションの作成、出店候補地の相談の際には、福祉施設の事業立ち上げ支援や土地活用のご提案を行っているタカオで相談してみてはいかがでしょうか?