老人ホームの経営は高齢化社会が進む日本において競争が激化しています。
これから老人ホームの経営を考えてる方の中には「今から参入しても儲かるのだろうか」と思っている方も多いでしょう。老人ホームの経営で安定した収益を出すためには、収益構造を理解する必要があります。
今回は老人ホームで収益を出すための方法や、老人ホーム経営を成功させるポイントについて解説しました。
この記事を読めば老人ホームで収益を最大化するための方法がわかるので、ぜひ最後までご覧ください。
老人ホームは儲かる?
老人ホームで収益を出すためには、業務の効率化や他の施設にはない特徴を持たせることが必要です。高齢化が進む日本では、介護事業などの高齢者向けのサービスの需要がますます高まっています。
『国土交通省のアンケート調査』をみると、有効回答62社のうち約18%にあたる11の法人、20のファンドで78物件、総額1,783億円のヘルスケア施設への投資実績があります。
介護付有料老人ホームへの投資件数が圧倒的に多いというデータが出ており、老人ホームは高い収益性を出すことができるビジネスモデルだと言えるでしょう。
しかし、市場のニーズや収益を出すための方法を理解していなければ、赤字経営に陥り、最悪の場合倒産に追い込まれます。
収益を出すための具体的な方法や、経営を成功させるためのポイントを把握しておくことで、老人ホームの収益を最大化することが可能です。
老人ホームの経営状況
厚生労働省が作成している「特別養護老人ホーム経営状況について」のデータによると、従来型・ユニット型どちらも赤字施設割合が拡大しています。
利用者1人当たりサービス活動収益は上昇していますが、従事者 1 人当たり人件費の増加や従事者数の増加により人件費率が上昇したことが原因です。
また東京商工リサーチが2023年1月11日に公表したデータによると、2022年の「老人福祉・介護事業」の倒産件数は過去最多の143件となっており、前年比76%増加で過去最多になります。
出典:株式会社東京商工リサーチ
老人ホームの経営を黒字化させるためには、利用率や利用単価を高くすることが求められるでしょう。
民間で開業可能な老人ホームとは
老人ホームには「公的施設」と「民間施設」の2種類があります。入居する方の介護度や費用、認知症の有無などによって施設がわかれており、民間では5種類の老人ホームが開業可能です。
5つの民間老人ホーム
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それぞれの違いを解説します。
介護付き有料老人ホーム
介護付き有料老人ホームとは、高齢者が自分の生活リズムを保ちつつ、医療や介護の支援を必要に応じて受けられる施設のことです。
食事・介護・医療サービスなどを一定の費用で提供し、必要なときには24時間体制でのサポートをしてくれます。
「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた、介護サービスの提供基準を満たした施設だけが「介護付き」と表示できます。
住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは、自宅での生活が困難になった高齢者が安心して生活できるように食事や入浴、生活支援等のサービスを提供する施設です。
自立(介護認定なし)状態の方から要支援・要介護の方までさまざまな状態の高齢者を、幅広く受け入れている施設になります。
病院や特別養護老人ホームと異なり個々の住戸が確保されている点が特徴で、自宅のようなプライベートな空間でありながら、必要なサポートを受けられる環境が整っています。
健康型有料老人ホーム
施設健康型有料老人ホームは、家事サポートや食事などのサービスが付いた高齢者施設になり、日常生活を楽しむための設備が充実している施設です。
身の回りのことは自分でできる、介護を必要としない自立した高齢者向けの施設になります。
介護が必要となった場合は原則退去となり、介護付き有料老人ホームへの転居が必要です。
サービス付き高齢者向け住宅
サービス付き高齢者向け住宅は民間企業が運営しており、介護施設ではなく住宅として扱われる住まいです。外出や外泊もできるケースが多く、のんびりと老後を暮らしたい方に向いている施設だと言えるでしょう。
2011年に「地域包括ケアシステム」拡充の施策として創設され、住宅数は年々増加傾向にあります。
サービス付き高住者住宅には「一般型」と「介護型」があり、一般型で介護を受ける場合は、外部事業者による居宅サービスの利用が必要です。
認知症グループホーム
認知症グループホームは民間企業やNPOが運営しており、要支援2以上、及び要介護1以上かつ認知症の症状がある高齢者が入所する施設です。
認知症グループホームは、認知症の方が1ユニット 5人から9人程度の少人数で共同生活をおこない「入浴や食事」「排せつなどの介助」を専門職員からサポートを受けながら共同生活をする施設になります。
老人ホームの収益構造
老人ホームで収益を出すためには、収入と支出の内訳を把握しておく必要があります。収入と支出でどのような項目があるか詳しく解説します。
収入
老人ホームの主な収入は以下の項目が挙げられます。
収入項目 | 目安金額 |
一時入居金 | 0~数千万円 |
家賃 | 5~30万円 |
管理費 | 3~20万円 |
食費 | 4~10万円 |
介護報酬 | ※介護保険収入がある場合 |
他サービス費 | ※介護保険外のサービスを行う場合 |
入居一時金は老人ホームへ入居する際に、入居者から支払われる収入です。入居一時金の金額設定は施設によってさまざまですが、多いところでは数千万円となるケースもあるため多くの収入を得られます。
その他の家賃や食費、管理費は介護施設の月額利用料として支払われる毎月の収入です。
支出
老人ホームを運営する際の主な支出は、初期費用と管理費用項目に分かれています。
支出一覧
初期費用 |
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管理費用 |
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老人ホームはどのくらいの規模で何人の入居者を入れるかによって、支出金額が大きく異なります。経営を始める前にしっかりと計画を練り、収支シミュレーションを繰り返すようにしましょう。
老人ホームで収益を出すための3つの方法
老人ホーム経営で収益を出すためには押さえておくべきポイントがあります。
収益を出すための3つのポイント
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それぞれ詳しく解説します。
特定施設の指定を受ける
老人ホームは行政から「特定施設入居者生活介護」(特定施設)の指定を受けることで、職員が住宅サービスと介護サービスを一体で提供することが可能です。
特定施設の指定を受けられれば介護付有料老人ホームとして運営でき、収益は入居者が支払う入居費用が中心となります。
一方介護付有料老人ホームは家賃等の収入に加え、介護サービスの収入を得ることができるため、収益力向上につながります。
行政によっては特定施設の総量規制を行っており、特定施設の指定取得が難しいケースもあるため、指定を受けることが可能か事前に確認しておきましょう。
施設の強み・特徴をPR
競合の老人ホームが増えている環境において、自身の施設を利用者に選んでもらうためにはブランディングも重要です。
ブランディングとは競合と差別化を図り、利用者に自社のサービスを知ってもらうことで、価値を高める方法になります。
老人ホームの稼働率を上げるためにも介護業界でのブランディングは大きな意味があり、競合分析による自社の強みと特徴を明確化することが必要です。
自社の強みや特徴をHPやSNS、パンフレットなどの複数の営業ツールを活用し、ケアマネージャーや地域住民などに認識してもらいましょう。
業務の効率化
老人ホームで収益を出すためには業務効率化を図ることも重要なポイントです。
効率化するためのポイント
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業務の効率化を進めるためには、適切な人員配置ができているかどうかを、把握する必要があります。
足りない部署に人材を増やすだけではなく、本当にその人員が必要なのか、他に代替できないか検討しましょう。
適切な人員配置ができれば、人件費を抑制することにもつながります。
またICTツール(情報通信技術)の導入も業務効率化につながります。ICTとはネットワークを活用して情報を共有することで、紙で管理していた情報をデジタル化し、業務負担を軽減することを目的に取り入れられています。
しっかり活用できるツールを選定できれば、事務作業の負担軽減や会議時間を削減することが可能です。
ICTツールを導入したことにより削減できた時間をケアや顧客獲得に活用できれば、利益率向上に繋がるでしょう。
老人ホーム経営を成功させるための業者選定のポイント
老人ホームの経営を成功させることは、専門業者の選び方によって決まると言っても過言ではありません。業者選定する際のポイントは2つあります。
2つのポイント
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詳しく解説します。
専門業者に依頼
老人ホームの経営は複雑なプロセスがあり、土地の特性や法律、市場動向などの知識が必要です。
また介護施設の場合は建築や設備の基準が厳しく設定され、建築する施設によって適している構造体が異なります。
建築費を抑える一番の要素として、その介護施設に適した構造を選択することが必要です。
鉄筋鉄骨コンクリート造や鉄筋コンクリート造は単価が高いため、その構造で建築する必要があるのか、土地活用業者に確認しましょう。
ワンストップでサポート
業者選定の際には、ワンストップでサポートしてくれる会社がおすすめです。営業・設計・施工管理だけでなく、資金調達や行政期間への申請も行ってくれるため、安心して任せることができます。
老人ホームの収益構造を把握するためにも、全体の収入と支出のシミュレーションを作成してもらいましょう。
老人ホームで収益を出すためには実績のある業者に依頼しよう
今回は老人ホームの経営状況や民間で開業可能な老人ホームの種類、老人ホームの収益構造について解説しました。
老人ホームで収益を出すためには、 業務の効率化や施設の強み・特徴をPRすることが必要です。
また実績のある専門業者に依頼することも、成功させるための重要な要素になります。
タカオでは創業45年以上の経験とノウハウにより、これまで多くの介護施設の出店やサポートを行ってきました。
老人ホームの運営を検討されている方は、ぜひタカオにご相談ください。