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【2024年最新】介護・福祉業界のM&Aの動向とは?メリット・デメリット、実際の手順などを徹底解説

【2024年最新】介護・福祉業界のM&Aの動向とは?メリット・デメリット、実際の手順などを徹底解説

日本における高齢者数、障がい者数は年々増加しており、介護・福祉業界のM&A件数が増加しています。
そこで、本記事では、介護・福祉業界のM&Aの動向や同業界でM&Aを行うメリット・デメリット、実際の手順を解説いたします。
介護・福祉業界のM&Aを検討中の方は、ぜひ最後までご覧ください。

介護・福祉業界の動向とは?

介護・福祉業界には、市場拡大と人材不足の2つの特徴があります。
同業界の動向を把握し、M&Aの参考にしましょう。

ニーズがあり市場拡大中

市場規模は拡大傾向で、65歳以上の介護保険の被保険者数が増えています。

<出典>「介護保険制度をめぐる最近の動向について」厚生労働省 老健局

2000年に日本で介護保険制度が開始されてから20年の間に、65歳以上の被保険者数は約1.6倍、介護保険のサービス利用者数は約3.3倍になりました。

高齢者数は今後も増加していくため、介護・福祉業界のニーズは高まっていくでしょう。
人材不足が大きな懸念点
厚生労働省は、日本の必要介護職員数について、2025年度は約243万人、2040年度は約280万人になると発表しました。
このままでは、2025年度まで毎年5万人規模で介護職員が不足します。

<出典>「第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について」厚生労働省

介護・福祉業界のニーズの増加に対応するため、ICTの活用や介護職員の処遇改善を進めるべきでしょう。

介護・福祉業界でM&Aを行うメリット

ここからは、介護・福祉業界でM&Aを行うメリットを、売り手・買い手の両視点からお伝えします。

売り手のメリット・売却益を獲得できる
・事業承継問題が解決する
・業績が改善する
・人材確保・施設間の人材融通が利く
・資金力が増え設備が整う
・知名度が向上する
買い手のメリット・拠点、人材の確保
・初期費用を抑えられる
・弱点サービスを補強できる
・業績が拡大する
・はじめから利益がある


売り手は、業績改善により従業員を継続雇用できることが大きなメリットでしょう。
一方、買い手は、はじめから利益を見込め、提供サービスを拡大できるのがメリットです。

介護・福祉業界でM&Aを行うデメリット

次に、介護・福祉業界でM&Aを行うデメリットを、売り手・買い手の両視点からお伝えします。

売り手のデメリット・経営方針が変わる可能性がある
・経営陣、従業員の流出
買い手のデメリット・経営方針の合意形成が必要
・従業員、顧客の流出
・売却後に軌道に乗らない可能性もある

売り手は、統合後の経営方針の変更により、元々の経営陣や従業員が流出するほどの軋轢が生じるかもしれません。
一方、買い手は優秀な人材が流出することで、経営がスムーズに進まない可能性があります。

介護・福祉業界におけるM&Aのポイント

続いて、介護・福祉業界におけるM&Aのポイントを解説いたします。

譲渡方法を検討する
人員基準に注意する
設備基準に注意する
加算と減算を理解する

ポイントを押さえてM&Aを円滑に進めましょう。

譲渡方法を検討する

介護・福祉業界でM&Aを実施する際は、譲渡方法を検討しましょう。
主な譲渡方法は、「事業譲渡」と「法人譲渡」の2種類です。

事業譲渡

事業譲渡とは、会社の一部または全ての事業を他の会社に譲渡するM&A手法です。
例えば、売り手が多くの事業を営んでいる場合、障害福祉サービス事業のみを会社から切り離します。

特定の事業のみを譲渡することで、経営の柔軟性を保ちながら新たな事業を展開できるのが魅力です。

法人譲渡

法人譲渡とは、法人の株式や資産など会社そのものを他の会社に譲渡するM&A手法です。
法人譲渡により、経営権は新しい所有者に移転します。

事業譲渡よりも手続きがしやすいですが、譲渡益課税など税務上の影響が伴うことを把握しましょう。


人員基準に注意する

介護・福祉サービス事業を営む場合は、定められた人員基準を満たさなければなりません。
人員基準は施設ごとに異なるため、あらかじめ厚生労働省のサイトなどで確認しましょう。

<関連記事>介護施設経営にはどんなスタッフが必要?業務内容や確保するためのポイントを解説

設備基準に注意する

人員基準だけではなく、設備基準にも注意しましょう。
設備基準とは、適切なサービスを提供するために設置しなければいけない設備・備品等に関するルールです。

設備基準には、例えば以下のようなものがあります。

・居室の広さ
・食堂、リビングなどの共有スペースの設計
・バリアフリー設計

以下の記事で、設備基準の詳細な説明をしています。ぜひご覧ください。

<関連記事>介護施設に必要な設備とは?他の介護施設と差別化するポイントについても解説

加算と減算を理解する

介護・福祉業界における加算と減算は、介護報酬の算定において重要な要素です。

加算は、特定の条件を満たすサービスや、より専門的な知識やスキルが必要なサービスを提供した際に、基本報酬にプラスされる金額を指します。

一方、減算はサービス提供において人員が不足していたり、基準を満たしていなかったりする場合に、基本報酬から差し引かれる金額です。

サービス提供者は、これらの制度を活用して質の高いサービスを提供しなければいけません。加算と減算の具体例は、以下の通りです。

加算
特定事業所加算

・介護サービスの質の向上が目的
・特定の基準※を満たした事業所に対して加算される

※介護福祉士の割合が一定以上、
 緊急時の対応方法が明示されているなど

夜間・早朝・深夜の加算・時間帯による労働の負担を考慮した加算
・夜間、早朝、深夜に訪問介護を行った場合に加算される
認知症専門ケア加算・認知症の利用者に対して専門的なケアを提供する事業所に対して加算される
※認知症ケアの専門的な知識や技術が必要
減算
業務継続計画未策定減算・事業所が業務継続計画を策定していない場合、基本報酬から減算される
・災害時などの非常事態に備えた計画の重要性を反映している
高齢者虐待防止措置未実施減算・高齢者虐待防止のための措置を実施していない事業所は、基本報酬から減算される
・利用者の安全と権利を守るための措置

これらの加算と減算は、サービスの質を保ちつつ、効率的な運営を促進するためのインセンティブとして機能しています。
介護報酬の算定においては、加算・減算項目を正しく理解し適用しましょう。

介護・福祉業界でM&Aを行う7つの手順

最後に、介護・福祉業界でM&Aを行う7つの手順をお伝えします。

M&Aの専門家に相談する
売却先を選定する
面談と基本合意書を締結をする
デューデリジェンスをする
最終契約書を締結する
クロージングをする
統合作業をする

これらはM&Aの基本的な流れになりますので、しっかり理解してください。


①M&Aの専門家に相談する

まずは、M&Aの専門家に相談しましょう。
相談時には、会社の強みや財務状況、売却希望先などを質問されるため、事前に情報をまとめると便利です。

具体的には、以下をまとめます。

・企業概要
・従業員のリスト、人事制度、労働協約
・税務申告書、過去の税務調査の記録などの税務関連
・契約書類、訴訟関連情報、知的財産権の状況などの法務関連
・買い手の理想企業像
・希望譲渡価額
・希望譲渡時期

これらをまとめることで、M&A仲介会社との相談がスムーズに進むでしょう。


②売却先を選定する

次に行うのが、売却先の選定です。
専門家は、希望条件をもとに候補先をリストアップしてくれます。

売却先候補の条件を照らし合わせ、自社のメリットを検討しましょう。

③面談と基本合意書を締結をする

売却先の選定後は、買収・売却側の企業のトップ同士で面談をします。

面談後、双方に問題がなければ基本合意書を締結しましょう。
基本合意書は、あくまでも合意内容の確認書という位置付けです。
法的拘束力はありませんが、合意書により双方の認識のズレを解消するメリットがあります。


④デューデリジェンスをする

次に行うのは、デューデリジェンスです。
デューデリジェンスとは、買い手が売り手の経営状況や財務状況などを徹底的に調査することを指します。

デューデリジェンスの主な調査項目は、以下の通りです。

・事業デューデリジェンス:対象企業の経営状態や事業内容を確認
・財務デューデリジェンス:財務諸表やキャッシュフロー、債務の有無などを確認
・法務デューデリジェンス:商業登記、株式の状況、契約内容、資産状況などを確認
・税務デューデリジェンス:過去の税務申告内容や納税状況を確認

デューデリジェンスで問題が発覚すると、M&Aの条件や価格が大きく変動するかもしれません。専門的な知識が必要なため、多くの場合、外部の専門家(弁護士、公認会計士、税理士など)に依頼するのが一般的です。


⑤最終契約書を締結する

デューデリジェンスで問題がなければ、次に最終契約書を締結しましょう。
最終契約書には法的拘束力があり、譲渡金額や表明保証、クロージングの前提条件などが記載されています。

最終契約書の締結後に一方的な契約破棄をした場合は、損害賠償につながるリスクがあるので、最終契約書の締結は慎重に行なってください。


⑥クロージングをする

続いて、クロージングをします。
M&Aにおけるクロージングとは、経営権の移転や対価の支払いなどを含む最終的な手続きのことです。

具体的には、株式譲渡や事業譲渡、第三者割当増資などが行われます。


⑦統合作業をする

買い手は、最後に統合作業をします。
このプロセスは、買い手が経営・文化・システムなどを統合し、効率的に運営するために必要な作業です。

焦って統合作業をすると、従業員の反感を買い、離職につながるかもしれません。
そのため、焦らずにゆっくりと時間をかけて行いましょう。
まとめ
本記事では、介護・福祉業界のM&Aの動向や同業界でM&Aを行うメリット・デメリット、実際の手順を解説しました。

現在、介護・福祉業界は「市場拡大」と「人材不足」の2つの特徴があります。
売り手・買い手のメリット・デメリットを踏まえた上で、本記事を参考にM&Aを実施してみてください。

また、事業の買収や譲渡の際の土地活用方法を知りたい際は、株式会社タカオにご相談ください。

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