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高齢者施設の設計ポイントとは?建築デザインの重要性も完全解説

高齢者施設の設計ポイントとは?建築デザインの重要性も完全解説

2025年には、団塊世代が後期高齢者となり、日本の高齢者人口は約3,500万人に達すると言われています。 国民の4人に1人が後期高齢者となるため、今後、高齢者施設の需要が増えていくでしょう。 そこで、本記事では高齢者施設の設計ポイントと建築デザインの重要性を解説いたします。 高齢者施設の設計を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

高齢者施設の種類

まずは、高齢者施設の種類をお伝えします。 それぞれの施設の特徴を理解して、どのような高齢者施設を設計しようか検討する際の参考にしてください。

種類特徴
特別養護老人ホーム・原則65歳以上かつ要介護3以上の方が入居する老人ホーム。
・要介護1〜2の方が入居する際は、自治体からの特別な許可が必要。
・介護保険を利用し、食事や排泄などの身体介助や健康管理、機能訓練をする施設。
・「終の棲家」として人気があり、入所まで数か月〜10年程度の期間を要することもある。
介護付き有料老人ホーム・特定施設入居者生活介護の指定を受けた民間施設。
・食事提供や生活相談、安否確認を実施。
・定額で身体介助や生活援助、機能訓練のサービスを受けられる。
・介護職員が24時間常駐。
住宅型有料老人ホーム・自立〜軽度要介護の方まで幅広く利用可能。
・レクリエーションやイベントが充実しており、入居者同士の交流が盛ん。
・自分に合った介護サービスを、その都度利用できることが魅力。
健康型有料老人ホーム・介護の必要がなく自立している高齢者が利用可能。
・食事提供や居室清掃、洗濯などの生活支援を行う。
・状態に合わせて、外部の介護サービスが利用可能。
介護老人保健施設・退院後、すぐに在宅復帰できない高齢者のための施設。
・入所期間は数カ月程度と短いことが特徴。
・理学療法士や作業療法士による、質の高いリハビリを提供。
グループホーム・認知症高齢者が5~9人で共同生活を行う施設。
・専門職員のケアを受けながら、できるだけ自立した生活を送ることが目的。
・地域密着型と呼ばれるサービスの1つで、住み慣れた地域で生活できることが魅力。
ケアハウス・入居条件は60歳以上と幅広い。
・自宅での一人暮らしに不安があったり、家族のサポートが受けられなかったりする場合に利用することが多い。
・経済的な負担が比較的小さいことが特徴。
サービス付き高齢者向け住宅・あくまでも「住居」として扱われる。
・外出や外泊ができたりと、自由度の高い生活を送れることが魅力。
・「一般型」と「介護型」があり、介護型の場合は職員による介護サービスが受けられる。
シニア向け分譲マンション・入居条件は自立している高齢者。
・高齢者が生活しやすいよう、バリアフリー化された分譲マンション。
・購入後は売却、譲渡、賃貸を自由に行えることが特徴。

高齢者施設の特徴

続いて、高齢者施設の特徴を説明します。
高齢者施設の種類に応じて、設備基準や建築基準が異なるためしっかりと確認しましょう。
◯建物の立地
◯建物の規模
◯建物の設備
3つの視点からお伝えします。

建物の立地

一般住宅の場合は、交通の便が良く、近くにスーパーや商業施設がある立地が好まれます。
高齢者施設の場合は車で送迎を行うため、アクセスの良さはそこまで重視されません。
高齢者施設は、人通りや車通りが少ない場所や、広い土地を確保できる場所が適しています。

しかし、駅から離れた場所に建設すると、スタッフや利用者家族は車で施設を訪れることになります。
そのため、施設規模に合わせた駐車場を完備しておく必要があるでしょう。

とはいえ、立地選びや土地活用は、専門家でなければ難しく感じる方も多いはずです。
高齢者施設の土地活用をお考えの方は、「タカオ」までぜひご相談ください。

建物の規模

高齢者施設の設計では、建築基準法だけではなく、施設ごとに定められた設備基準を満たさなければいけません。

例えば、デイサービスやデイケア施設の場合は、食事や機能訓練をする場所の合計面積が1人あたり3㎡以上と定められています。

また、坪数の目安は利用定員数の2倍です。
定員10名の場合は20坪、定員30名であれば60坪の広さを確保しましょう。

また、高齢者だけではなく、そこで働くスタッフも快適に過ごせる施設規模が必要です。


 <参考>厚生労働省 通所介護及び療養通所介護(参考資料)

建物の設備

高齢者施設の設備には、設備基準と建築基準があります。
それぞれ、どのようなものなのか見ていきましょう。
設備基準
高齢者施設を設計する際は、設備基準にも注意が必要です。

高齢者施設には、食堂や機能訓練室、医務室、レクリエーションルームなどさまざまな設備がありますが、施設規模や種類により細かいルールが定められています。

設備基準は、施設ごとに異なりますので、事前に確認しておきましょう。

<関連記事>介護施設に必要な設備とは?他の介護施設と差別化するポイントについても解説

建築基準

建築基準とは、建築物の安全確保を目的にしている「建築基準法」で定められています。

●部屋の広さ(定員)
●建築物の採光
●防火設備
●廊下の幅

以上の基準を表でまとめてみました。

部屋の広さ(定員)

・特別養護老人ホーム:10.65m²以上
・有料老人ホーム:13m²以上
・グループホーム:7.43m²以上
・サービス付き高齢者向け住宅:25m²以上

※1人あたりの基準
※自治体により面積が異なる場合あり

建築物の採光

・居室の床面積に対して1/5~1/10の採光が必要。
・建物の開口部を大きくしたり、吹き抜けを設けたりする事例が多くみられる。

※自治体により細かなルールあり

防火設備

・火災が起こった際に炎や煙の拡散を防ぎ、避難経路を確保する。
・グループホームでは3階以上の建物を「耐火建築物」にすることが求められている。

※防火地域や階層の違い、延床面積などにより条件が異なる

廊下の幅

・特別養護老人ホーム:中廊下2.7m以上、片廊下1.8m以上
・有料老人ホーム:中廊下2.7m以上、片廊下1.8m以上
・グループホーム:中廊下1.6m以上、その他の廊下1.2m以上
・サービス付き高齢者向け住宅:中廊下1.6m以上、片廊下1.2m以上

※自治体により条件が異なる場合あり


高齢者施設を設計する際のポイント

ここからは、高齢者施設を設計する際のポイントを解説します。
ポイントを考慮して高齢者施設を設計すると、失敗するリスクを最小限に抑えられます。

高齢者施設を設計する際のポイントは以下の通りです。

●脱施設化を図る
●見守りやすさを重視する
●地域包括ケアシステムを構築する
●地域住民や利用者のニーズを把握する
●施設運営の見通しを立てる

脱施設化を図る

高齢者施設の「脱施設化」は重要です。脱施設化とは、高齢者施設を住み慣れた自宅に近い設計にすることを指します。

無機質なデザインになりがちな高齢者施設は、住み慣れた自宅に近い施設を求める高齢者に好まれない場合があります。

介護保険制度が2000年4月に施行されたことで、行政から割り当てられた施設に入所するしかなかった状況から、利用者が自分で選んだ施設に入所できるようになりました。

つまり、現在の高齢者施設は利用者やその家族から求められる存在にならなければいけません。

利用者やその家族が求めているものは、「住みなれた自宅に近い施設」です。

脱施設化のためには、できるだけ木材を使用し、温かみのある施設を設計しましょう。

見守りやすさを重視する

高齢者施設を設計する際は、見守りやすさを重視しましょう。
見守りやすい設計にすることで、利用者に異変があった場合に迅速に対応できます。

また、見守りカメラやセンサーなどを活用することで、スタッフの巡回数を減らし業務の効率化に繋がります。

地域包括ケアシステムを構築する

地域包括ケアシステムを構築することで、医療・介護サービスを地域一体で提供できます。
高齢者施設を設計する際は、「保育園」や「若い夫婦シェアハウス」などを一緒に建設し、世代を超えた交流を促す工夫も大切です。

地域住民や利用者のニーズを把握する

安定した集客を目指すためには、地域住民や利用者のニーズを把握しましょう。ニーズを把握することで、高齢者施設にどのような期待をしているかが分かります。

できるだけ早くニーズを把握し、設計する際の参考にしてください。ニーズを把握する上で、聞くべき項目は以下の通りです。

●どのような活動に興味があるのか
●新たに挑戦したいことはあるか
●どんな日常生活を送っているのか
●現在、困っていることはないか

施設運営の見通しを立てる

日々変動する利用者のニーズを想定しながら、柔軟に対応できる施設運営の見通しを立てましょう。
施設運営の見通しを立てる目的は、施設を長期にわたり安定して機能させるためです。

利用者にとって快適で安全な環境を保ち続けられるよう、維持管理計画を整えることも重要です。

維持管理計画に取り入れるべき項目例は、以下の通りです。

◯機能訓練、リハビリテーション
◯食事管理
◯入浴、排泄、整容
◯口腔ケア
◯服薬管理
◯生活環境の整備

計画は定期的に見直し、状況に合わせて柔軟に変更しましょう。

高齢者施設の建築デザインの重要性

最後に、高齢者施設の建築デザインの重要性をお伝えします。
外観・内観デザインにこだわることで、多くのメリットがあります。

【外観デザインにこだわる利点】
◯特別感がでる
◯建物が目立ちやすい

【内観デザインにこだわる利点】
◯利用者の生活の質が向上する
◯スタッフ満足度が向上する
◯経営が安定する

それでは、詳しく見ていきましょう。

外観デザインにこだわる利点

まずは、外観デザインにこだわる利点です。

特別感がでる

外観にこだわることで、特別感が出ます。施設らしくないオシャレな外観の高齢者施設は、利用者やその家族に選ばれやすいでしょう。

建物が目立ちやすい

建物が目立つと、多くの人の目に留まりやすくなります。その結果、新たな利用者やスタッフの獲得につながります。

また、他の施設との差別化になり、競争が激しい介護業界において独自のブランド価値を築けるでしょう。

内装デザインにこだわる利点

続いて、内装デザインにこだわる利点です。

利用者の生活の質が向上する

内装デザインにこだわると、利用者の生活の質が向上し、快適な生活を提供できます。できるだけ自宅に近いデザインを心がけて、利用者のストレスを軽減させましょう。

スタッフ満足度が向上する

内装デザインにこだわった施設は、利用者だけではなくスタッフの満足度も向上します。
雰囲気がよく働きやすい職場は、スタッフの離職率も低下するでしょう。

経営が安定する

内装デザインにこだわり、利用者の満足度が向上すると、口コミで評判が広がります。
その結果、集客力が高まり経営が安定するはずです。

<関連記事>介護事業における集客のポイントとは?集客における具体的な手法とともに徹底解説!

まとめ

この記事では、高齢者施設の設計ポイントと建築デザインの重要性を解説しました。
本記事を参考に、高齢者施設の設計のイメージを具体的にしましょう。

設計のイメージが具体的になったあとは、建設候補地探し(土地探し)、施設建設を検討する必要があります。

「タカオ」なら、施設の出店候補地探しのサポートはもちろん、金融機関との資金調達も丁寧にサポートいたします。
まずは、お気軽にご相談ください。

 

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