介護施設を経営する上で重要なのは、コストの削減です。
しかし、「コスト削減」に取り組めていない事業所は意外に多いと言われています。
そこで、今回は「介護施設で今すぐできるコスト削減アイディア」を7つお伝えします。
コスト削減の実際の手順や、注意点も併せて紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
介護施設におけるコスト削減の重要性
コストの削減は、業務の無駄やムラを軽減でき、スタッフの働きやすさに繋がります。
スタッフの離職を防ぐためにも、積極的にコストを削減していきましょう。
収入を増やす方法は「売り上げ向上」か「コスト削減」
収入を増やす方法は、「売り上げ向上」か「コスト削減」の2種類があります。
しかし、明日から売り上げを向上しようと思っても、簡単にできるものではありません。
一方、コスト削減は事業所の努力により、すぐに実現可能です。
コスト削減に成功すれば、売り上げが少なくても利益を出せるようになります。そのため、まずはコスト削減から取り組むのが効率的でしょう。
「仕組み化」でコスト削減を実現
コスト削減には、固定費を減らす「仕組み化」がおすすめです。
以下のように、スタッフの意識を変えることでもコスト削減はできますが、その効果は微々たるものです。
⚫️こまめに電気を消す
⚫️水の出しっぱなしに気をつける
⚫️メモ用紙は、コピーの裏紙を使用する
このような取り組みも取り入れた上で、より成果が出る「仕組み化」を取り入れましょう。
仕組み化の例は、以下の通りです。
⚫️IT技術を活用して業務プロセスを自動化する
⚫️ペーパーレス化を進める
⚫️賃料の値下げ交渉をする
介護施設運営にかかる2つのコスト
介護施設運営にかかるコストには、「固定費」と「変動費」の2つがあります。
固定費とは、売り上げにかかわらず必ず発生する費用で、変動費とは、売り上げによってかかる金額が変化する費用です。
固定費と変動費の具体的な例は、以下の通りです。
固定費 | 人件費、家賃、水道光熱費、通信費、広告宣伝費、消耗品費、リース料など |
変動費 | 介護用品費、給食材料費、調理スタッフの人件費など |
利益を確保するためには、変動費よりも固定費の削減に努めましょう。
なぜなら、売り上げが少ない時に固定費が高いままだと、赤字になってしまうからです。
毎月の固定費を抑えることで、安定した介護施設経営に繋がるでしょう。
介護施設のコスト削減アイディア7選
ここからは、介護施設のコスト削減アイディアを7つ紹介します。
今すぐにできるものばかりのため、採用できるものは積極的に取り入れていきましょう。
1.賃料の値下げ交渉をする |
①賃料の値下げ交渉をする
賃料の値下げ交渉は、大幅なコスト削減になります。
介護施設は、長期にわたり土地や建物を借りているケースが多いです。
特に、老人ホームやグループホームでは、20〜25年という長期スパンで契約していることもあるでしょう。
しかし、大幅なコスト削減ができるにもかかわらず、賃料の値下げ交渉をしている事業所は少ないのが現実です。
中には、不動産オーナーとの関係が悪化するのが不安で、コスト削減の選択肢に入れていないかもしれません。
とはいえ、賃料の値下げ交渉は法的に認められているので、以下に当てはまる場合を除いて、積極的に交渉してみると良いでしょう。
⚫️契約書に「賃料改定不可」の記載がある ⚫️借りてから1~2年程度しか経過していない ⚫️地域の家賃相場よりも安い賃料 ⚫️立地条件が良い人気物件 |
値下げ交渉を成立させるためには、専門的な知識があるプロに委託するのも選択肢の1つです。
<関連記事>介護施設を開業するときに利用できる助成金!有効活用して資金繰りを楽にしよう
②通信費を見直す
電話やインターネット回線費などの通信費を見直すことで、コスト削減になります。
何年も使用していない回線がある場合は、ただちに解約しましょう。
携帯電話の利用料金は、プランの変更や携帯電話会社の乗り換えが有効です。
大手キャリア(ドコモ、au、Softbank)だけではなく、「MVNO」という格安SIMブランドも活用しましょう。
「MVNO」の魅力は、設備投資が少なく低価格で利用できることです。
通信費の見直しをして、メリットが多い場合には乗り換えを検討してみてください。
③節水機器を使用する
蛇口やシャワー口に節水機器を付けることで、水道代を節約できます。
ただし、ヘッドが重かったり、水圧が弱かったりする場合は業務効率が著しく低下するため、事前に確認してから導入しましょう。
④電力会社の見直しやLED照明へ切り替える
電気代の節約には、電力会社の見直しとLED照明への切り替えが有効です。
2016年の電力自由化により、電力会社を自由に選択できるようになりました。
現在かかっている電気代を見直し、今よりも安い電気料金プランがある場合は乗り換えても良いでしょう。
ただし、電力会社によっては、乗り換え時に違約金がかかることもあるため注意が必要です。
また、LED照明へ切り替えると、年間の電気代を大幅に削減できます。
家電製品協会によると、白熱電球からLED照明へ切り替えると、約86%の省エネになると言われています。
さらにLED電球は寿命が長いため、電球を取り替える手間が省けるのもメリットでしょう。
⑤消耗品の仕入れ業者と管理方法を見直す
消耗品の仕入れ業者と管理方法を見直すことも、コスト削減に有効です。
介護施設では、おむつや洗剤、トイレットペーパーなどさまざまな消耗品を購入しています。
同じ商品を安く提供している仕入れ業者がある場合は、なるべく早く乗り換えた方が良いでしょう。
また、消耗品の管理方法が統一されていないと、無駄な発注が増えてしまいます。
スタッフの事務作業を減らすためにも、在庫はわかりやすく「見える化」を心がけましょう。
⑥業務効率化で人件費を削減する
業務を効率化することで、残業代が減り人件費の削減に繋がります。
業務フローの見直しや、ICTツールの導入を検討しましょう。
例えば、介護専門のシフト・勤怠管理サービスの「CWS for Care」なら、シフト・勤怠データをクラウド管理できます。
<出典> CWS for Care
スタッフや施設の課題を解決できるツールを探してみると良いでしょう。
⑦広告費を見直す
コスト削減には、広告費の見直しが重要です。
FacebookやInstagramなどのSNSを積極的に活用すると、費用をかけずに求職者や利用者、その家族にアプローチできるでしょう。
10代〜20代の若い世代は、SNSを積極的に利用しているため、採用時に有利に働くかもしれません。
<参考>SNSの利用状況(総務省)
介護施設のコスト削減の手順
続いて、介護施設のコスト削減の手順をお伝えします。
正しい手順で行わないと、スタッフに過度な負担がかかったり、サービスの質が低下したりするため注意しましょう。
⚫️現状のコストを洗い出す ⚫️削減したいコストの優先順位をつける ⚫️優先順位に従ってコスト削減を実施する ⚫️定期的な見直しをする |
現状のコストを洗い出す
まずは、現状のコストを洗い出します。
介護施設を経営する上で、毎月どのくらいの経費がかかっているのかリストアップしましょう。
例)おむつ◯円、トイレットペーパー◯円、電気代◯円、水道代◯円 |
削減したいコストの優先順位をつける
次に、削減したいコストの優先順位をつけます。
今すぐに解決できるものや、コスト削減した際にインパクトが大きいものの優先順位を高く設定しましょう。
優先順位に従ってコスト削減を実施する
続いて、優先順位に従ってコスト削減を実施します。
普段の業務に追われてコスト削減が後回しにならないよう、「何月何日までにやる」と期日を設けて実施することがおすすめです。
定期的な見直しをする
コスト削減の取り組み後は、定期的な見直しをしましょう。
見直しをせずにいると、どのくらいのコストを削減できたのか把握できません。
定期的に分析することで、優先順位の付け方やコスト削減方法を改善できます。
介護施設のコスト削減による注意点
最後に、介護施設のコスト削減による注意点を解説します。
無理なコスト削減は、自分で自分の首をしめることになりますので注意してください。
⚫️サービスの質を低下させない ⚫️スタッフの負担を増やさない |
それでは、1つずつ見ていきましょう。
サービスの質を低下させない
コスト削減する上で、サービスの質を低下させないことは重要です。
サービスの質の低下は、利用者やその家族の満足度も低下させ、介護施設の評判を落とす危険性があります。
その結果、利用者と売上の低下につながるでしょう。
コストを削減する際は、サービスの質を低下させない範囲で行いましょう。
スタッフの負担を増やさない
スタッフの負担を増やさないことも、コスト削減の際の重要なポイントです。
例えば、節電のために「日中は電気をつけないようにする」というルールを作ったとします。
その結果、業務効率が落ち、スタッフの反感を買うかもしれません。
「日中は電気をつけない」よりも、LED照明に切り替えた方が、スタッフの負担なくコストが削減できるでしょう。
まとめ
この記事では、「介護施設で今すぐできるコスト削減アイディア」を7つ解説しました。
明日からできる取り組みもあるので、優先順位を付けながらコスト削減を実践しましょう。
この記事を読んでいる方の中には、介護施設のコスト削減方法を理解した上で、施設の出店候補地探しを検討している方もいるかもしれません。
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