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介護施設の開業方法とは?立ち上げのための手順や費用・資格・助成金制度を完全解説

介護施設の開業方法とは?立ち上げのための手順や費用・資格・助成金制度を完全解説

「介護施設を立ち上げたいと思っているけど、具体的な手順が分からない」と悩んでいる方はいませんか?

この記事では、介護施設立ち上げのための手順を紹介します。
費用や資格、助成金制度についても説明しますので、ぜひ最後までご覧ください。

介護施設を開業するための7ステップ

介護施設を開業するためには、適切なステップを踏むことが重要です。
それでは、介護施設を開業するための7ステップをお伝えします。

1.ビジネスプランの作成
2.法人の立ち上げ
3.施設の場所の選定と建設
4.スタッフの採用とトレーニング
5.介護保険事業者の指定申請
6.ICTツールの導入
7.利用者の獲得

1.ビジネスプランの作成

まずは、ビジネスプランを作成します。

介護施設の種類はさまざまあるため、どのような介護施設を開業したいのか、ターゲットはどうするのかなど、介護施設のコンセプトをあらかじめ定めておきましょう。

介護施設のサービス形態とその概要は、以下の通りです。

サービス形態概要
通所介護
(デイサービス)
日帰りで機能訓練やレクリエーション、食事を行う施設。
通所リハビリテーション(デイケア)日帰りで、作業療法士などの専門スタッフによるリハビリテーションを提供している施設。
基本的には送迎付き。
訪問看護利用者宅へ訪問し、健康確認や医療処置などを行う。
訪問介護利用者宅へ訪問し、食事や入浴、排泄などの身体介護・生活援助を行う。
特別養護老人ホーム常に介護を必要とする高齢者のための入居施設。
24時間の介護サービスを提供している。
認知症対応型共同生活介護(グループホーム)認知症の高齢者が少人数で共同生活する施設。
介護スタッフが常駐している。
居宅介護支援事業所要介護者に対して、自宅で生活できるようケアプランの作成やサービス調整を行う事業所。
ケアマネジャーが常駐している。

2.法人の立ち上げ

次に、法人を立ち上げます。
介護施設を開業するためには、法人化が必須です。

営利法人と非営利法人には違いがありますので、把握しておきましょう。

【営利法人】

株式会社資金調達を株で行う会社。
社会的信用が高く、融資を受けやすい傾向にある。
合同会社出資者と経営者が同じで、株式を発行しない。
株主総会がないため、迅速な意思決定ができる。

【非営利法人】

医療法人医療法の規定に基づき設立され、病院や診療所、介護老人保健施設などの開設が目的。
NPO法人NPO法の規定に基づき設立され、20種類の分野で活動できる。
社会福祉法人社会福祉法に基づき設立され、社会福祉事業を行うことが目的。

3.施設の場所の選定と建設

次に行うのが、介護施設の場所の選定と建設です。
場所の選定は、安定した利用者の獲得とスタッフの雇用が確保できる立地を選びましょう。

また、建設する物件に関しては、「省令や条例で定められている設備基準」と「市区町村ごとに定められている物件の基準」の両方を満たす必要があります。

サービス形態ごとに条件は異なるため、事前に確認しておきましょう。

<関連記事>介護施設に必要な設備とは?他の介護施設と差別化するポイントについても解説

4.スタッフの採用とトレーニング

続いては、スタッフの採用とトレーニングです。
特に、スタッフの採用は介護施設を開業する上で、最も重要だと言っても過言ではありません。

介護施設で勤務する職種と、必要な資格について紹介します。

仕事内容資格
管理者施設全体のマネジメント業務。施設によって異なるが、介護の実務経験と特定の研修・講習会の受講が条件となる。
サービス提供責任者訪問介護サービス利用者の個別支援計画立案やホームヘルパーへの指導を行う。・相談支援従事者初任者研修修了
・介護福祉士や介護職員などの実務経験3年以上
ケアマネジャー
(介護支援専門員)
利用者ごとにケアプランの作成を行い、利用者と家族が自立した生活を送れるようサービス調整を行う。・保健医療福祉分野での実務経験5年以上
・介護支援専門員実務研修受講試験合格
・介護支援専門員実務研修課程修了
介護職員食事や入浴、排泄などの身体介護・生活援助を行う。資格は必須ではない。
看護職員健康確認や服薬管理、医療処置などを行う。・看護師
・准看護師
訪問介護員
(ホームヘルパー)
利用者宅を訪問し、身体介護や生活援助を行う。・介護職員初任者研修課程修了
生活相談員介護施設と利用者およびその家族との連絡調整を行う。
介護職員やケアマネジャーと兼任することも多い。
・社会福祉士
・精神保健福祉士
・社会福祉主事
機能訓練指導員利用者が自宅で自立した生活を送れるよう、リハビリテーションを行う。・理学療法士
・作業療法士
・言語聴覚士
・看護職員
・柔道整復師またはあん摩マッサージ指圧師

介護施設を開業する際には、以上の人材を確保してください。

5.介護保険事業者の指定申請

次に行うのは、介護保険事業者の指定申請です。

人員基準、運営基準、設備基準の3つの基準を満たした上で、必要書類を整え、自治体に指定申請しましょう。

主な必要書類は、以下の通りです。

指定申請書
登記事項証明書又は条例等
平面図
運営規程
主要な場所の写真
利用者からの苦情を処理するために講ずる措置の概要
契約書、重要事項説明書など

6.ICTツールの導入

次に、ICTツールを導入します。

ICTツールを活用すると、毎月行うシフト作成や帳簿管理などの事務作業を効率化できます。
また、事前にICTツールを導入しておくことで、スタッフの混乱なくスムーズに開業できるでしょう。

7.利用者の獲得

最後に、介護施設の利用者を獲得します。
介護施設の利用者を集める方法は、次のようなものがあります。

施設見学会を実施する
地域のイベントや活動に参加する
チラシやパンフレットを作成する
ホームページを作成する

地域との連携強化や、利用者やその家族にとってサービス内容が分かりやすく、魅力が伝わる制作物で集客に繋げましょう。

介護施設を開業するための必要資金

ここからは、介護施設を開業するための必要資金を、初期費用と毎月の支出に分けて説明します。
必要資金を把握しておくことで、開業準備が円滑に進むでしょう。

初期費用

初期費用の目安は、200万〜1,000万円だと言われています。
初期費用の内訳は、以下の通りです。

費用概要
人件費1人あたり20〜30万円程度が必要。
家賃指定申請を行う際に、設備基準などの確認も行うため開業前から家賃が発生する。
内装工事費設備基準を満たすために、改装が必要になることもある。
※150~500万円程度
事務所内の備品・机や椅子、ロッカー
・固定電話、携帯電話、パソコン
・筆記用具など
車両と駐車場代訪問サービスを提供する際に必要。
※新車のワンボックスカーは300万円程度
広告宣伝費求人や集客の際に必要。

毎月の支出

毎月の支出は、以下の通りです。

人件費
賃貸料
水道光熱費
食材費
車両費
消耗品費
広告宣伝費

開業してから2ヶ月間は、収入がない施設がほとんどです。
そのため、初期費用に加えて最低2ヶ月間の運営資金を確保しておきましょう。

資金調達方法

介護施設を開業するためには、資金調達が必要です。

資金の流れが止まってしまうと、施設運営ができなくなりますので、リスク分散する意味でも、調達方法の違いを知っておくことは重要となります。

金融機関からの融資
補助金・助成金の活用
ファクタリングの活用

それぞれの資金調達方法を見ていきましょう。

金融機関からの融資

一般的な資金調達方法は、金融機関からの融資です。

銀行や日本政策金融公庫・国民生活事業、信用保証協会から融資を受けられます。

日本政策金融公庫・国民生活事業は、無担保・保証人なしで融資を受けられますが、金利が高くなる傾向があります。

一方、信用保証協会は自治体を介した融資です。

保証人は信用保証協会となり、金融機関から融資を受けられます。

金利以外にも、借入金額や借入期間などに応じた保証料がかかるため注意しましょう。

補助金・助成金の活用

補助金や助成金は、どちらも国や地方公共団体から支給されるものです。
介護事業で活用できる助成金は、以下の通りです。

介護労働環境向上奨励金スタッフの身体的負担を軽減するために、新たな介護福祉機器の導入・運用することで支給される。
※介護福祉機器の導入費用の半分を支給(上限300万円)
特定求職者雇用開発助成金60~64歳の高年齢者や障がい者などを継続的に雇用した際に支給される。
※対象者1人あたり25万円~
トライアル雇用奨励金障がい者や就職が困難な求職者を一定期間(原則3ヶ月)雇用した際に支給される。
※対象者1人あたり月額4万円

ファクタリングの活用

ファクタリングとは、一定の手数料を払って債権を期日前に買い取ってもらうサービスを指します。

介護報酬のファクタリングを活用すれば、2ヶ月の売り上げ入金を待たずに現金化できます。

介護施設が利用できるファクタリングは、以下の3つです。

介護報酬ファクタリング
診療報酬ファクタリング
調剤報酬ファクタリング


介護施設開業の成功・失敗ポイント

最後に、介護施設開業の成功・失敗ポイントをお伝えします。
あらかじめ失敗ポイントも押さえておくことで、介護施設開業の成功率を高められるはずです。

実現性のあるビジネスモデルの立案
質の高いサービスの提供
スタッフが働きやすい環境の整備

以上の3つの視点から説明します。

実現性のあるビジネスモデルの立案

実現性のあるビジネスモデルを立案することは、地域のニーズに合った介護施設の開業に必須です。

介護施設の開業を成功させるために、リスク管理や財務計画など、詳細なビジネスモデルを確立しましょう。

質の高いサービスの提供

質の高いサービスを提供しなければ、利用者は獲得できません。

介護施設の評判は、口コミで広がることもありますので、日々変化する利用者のニーズを捉えながらサービスの質を担保しましょう。

スタッフが働きやすい環境の整備

介護業界における人材の不足感は、全体で60%を超えています。

<出典>(公益財団法人介護労働安定センター「令和4年度介護労働実態調査」

人材の確保ができないと、スタッフ1人あたりの負担が増え、質の高いサービスは提供できません。

そのため、介護施設を開業する際には、スタッフが働きやすい環境を整備することが重要です。

まとめ

この記事では、介護施設立ち上げのための手順や費用、資格、助成金について紹介しました。
成功させるためのポイントを踏まえた上で、介護施設を開業しましょう。
介護施設の新規開業を検討している方は、資金調達から行政機関への申請サポートや施設の出店候補地探しのサポートを含め「タカオ」にご相談ください。

<関連記事>【徹底解説】介護施設をつくるには一体いくら必要なのか?

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