障害者グループホームの開業・経営を考えている方の中には、「必要な資格や目安費用」を把握できていない方は多いのではないでしょうか。
円滑に事業を進める為には、資格や資金、開業手順なども理解しておく必要があります。
本記事では障害者グループホーム経営に関する基本的な情報や資金調達におけるポイントも解説しているので、是非最後までご覧ください。
障害者グループホームの開業に必要な資格は?
障害者グループホームを開業する際に、特定の資格を持っている必要はありませんが、運営管理者には一定の要件が求められます。
具体的には「社会福祉主事任用資格」または「社会福祉事業に2年以上従事した者」2つの要件です。
開業にあたり必要な資格はありませんが、管理者には指定基準があるため確認しましょう。
社会福祉主事任用資格とは
社会福祉主事任用資格は、社会福祉施設や行政での専門的な相談業務を担うために必要な資格です。
大学や短期大学で指定された科目を履修し、3科目以上を修了することで取得可能です。
社会福祉事業に2年以上従事した者とは
社会福祉事業に2年以上従事した者とは、特定の福祉施設やサービスにおいて、社会福祉の増進に関連する業務に、2年以上の実務経験を有する人を指します。
また、社会福祉事業とは、社会福祉法第2条に基づき、地域社会の一員として自立した日常生活を支援する事業です。
第1種社会福祉事業と第2種社会福祉事業があり、国や地方公共団体が運営する事業が含まれます。
【参考】:施設長の研修義務化及び資格要件省令化について
社会福祉事業 |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
これらの資格要件は、施設の運営能力や社会福祉に対する熱意を持つ者が施設長として適任であると認められるための基準として設けられています。
障害者グループホームとは?種類と役割について
障害者グループホームの種類や役割について確認していきましょう。
1.介護サービス包括型
2.外部サービス利用型
3.日中サービス利用型
4.サテライト型
介護サービス包括型
自立した日常生活を送る上で必要な相談や入浴、排泄、食事の介護などの日常生活上の援助を必要とする障害者を対象にしています。
主に夜間や休日に、これらのサポートを提供し、利用者の就労先や日中活動サービスとの連絡調整や余暇活動などの社会生活上の援助も行います。
外部サービス利用型
相談や日常生活上の援助を提供しますが、入浴や排泄、食事、介護などの援助は外部の居宅介護事業所に委託しています。
自立した日常生活を送る上で、一定の支援を受けながら地域の中で暮らしたい方が利用します。
日中サービス支援型
重度の障害や高齢のために他の日中活動サービスを受けられない方を対象としています。
日中もグループホームで過ごせて、家事や相談などの日常生活上のサポートや介護サービスを提供します。
【参考】:共同生活援助について
サテライト型
グループホームの近くにある住居で、一人暮らしに近い形態で生活するタイプです。
本体のグループホームで食事や交流を持つことができ、生活上困ったことがあれば支援員の助けを借りられます。
集団生活が苦手な方や、将来的に一人暮らしを目指す方に適しているでしょう。
【参考】:サテライト型住居の利用対象者像について
グループホームを開業するための4ステップ
グループホームを立ち上げる際の基本的な手順について解説していきます。
1.資金を調達する
2.法人を作る
3.指定基準に合致した施設を建設する
4.事業者指定を受ける
資金を調達する
グループホームの開業には、設立資金や運営資金が必要です。資金調達の方法には、自己資金、国や自治体の補助金・助成金、金融機関からの融資などがあります。
特に、社会福祉施設等施設整備費補助金や日本政策金融公庫の融資は、グループホーム開業においてよく利用される資金調達方法です。
法人を作る
グループホームは個人事業主が運営することはできず、法人として運営する必要があります。
法人格を持った「株式会社」や「合同会社」「社会福祉法人」「一般社団法人」「NPO法人」などを設立しましょう。
指定基準に合致した施設を建設する
グループホームは「障害者総合支援法」に基づく福祉サービスであり、都道府県の条例で定められた設置基準に沿った施設作りが必要です。
これには、人員配置基準、設備基準、運営基準などが含まれます。例えば、管理者やサービス管理責任者の配置、居室の広さ、地域との交流ができる立地条件などが規定されています。
事業者指定を受ける
設備や人員が整っていても、すぐに開業できるわけではありません。事業所の開設を予定する都道府県(中核市以上の場合は市)から事業者指定を受ける必要があります。
◯運営法人の情報
◯法人の定款
◯登記簿謄本
◯事務所の住所や人員配置
◯管理者の職務経歴
申請には上記内容を含む資料が必要です。
グループホームの開業にかかる費用について
グループホームの開業にかかる費用について「開業資金」「ランニングコスト」の側面から見ていきましょう。
開業資金について
グループホームを開業する際には、いくつかの費用がかかります。
1.法人設立費用
2.物件関連費用
3.人件費・運営費
グループホームを運営するためには法人を設立する必要があります。株式会社や合同会社、社会福祉法人などの設立費用が含まれます。
設立後は物件の購入やリース、改装費用なども必要です。施設の建設や改修、必要な設備の導入などが含まれます。また、運営後はスタッフの給与や経費も考慮に入れなくてはなりません、
開業には、少なくとも約300万円~の費用がかかるとされており、これには上記の費用が全て含まれます。
ランニングコストについて
ランニングコストは、日々の運営にかかる経費のことを指します。
⚫️人件費
⚫️家賃
⚫️光熱費
⚫️食材
⚫️日用品
⚫️メンテナンス費
この様なランニングコストは施設の規模や提供するサービスの質、地域の物価によって変動します。適切な資金計画と管理は、グループホームの持続可能な運営にとって不可欠です。
開業前にはこれらのコストを詳細に見積もり、運営計画に反映させることが重要となります。また、予期せぬ出費に備えた運転資金の確保も、安定した運営には欠かせません。
開業資金を調達する方法について
開業資金調達方法について解説していきます。
◯社会福祉施設等施設整備費補助金
◯日本政策金融公庫の融資
◯都道府県の補助金・助成金
社会福祉施設等施設整備費補助金
社会福祉施設等施設設備費補助金は、障害者の福祉サービス等の基盤整備を支援するためのものです。施設の改修や新設、耐震化などの経費の一部を補助する制度であり、主に以下の内容を含んでいます。
補助対象 | 新設、増築、改築(耐震化を含む)、大規模修繕など |
補助率 | 国が1/2、都道府県・指定都市・中核市が1/4、設置者が1/4を負担 |
整備区分 | 創設、増築、改築、大規模修繕等 |
対象施設 | 障害者総合支援法上のサービス施設、生活保護施設、防災・減災対策施設など |
この制度は、障害者が利用する施設の安全性や利便性を高め、社会参加を支援するための重要な取り組みとされています。
【参考】:社会福祉施設等施設整備費補助金について
日本政策金融公庫の融資
日本政策金融公庫は、中小企業や個人事業主に対して、事業の開始や運営を支援するために低利の融資を提供する政府系金融機関です。
融資制度は、事業の規模や目的に応じて様々なプログラムが用意されており、以下は福祉事業における融資制度になります。
①福祉増進資金(健康・福祉増進貸付) 店舗のバリアフリー化や高齢者、乳幼児を抱える女性などが利用しやすい店舗にするための設備投資に特別な融資を提供しています。 |
②ソーシャルビジネス支援資金 ソーシャルビジネスを営む中小企業や小規模事業者、NPO法人を資金面からサポートする融資制度です。保育サービス事業、介護サービス事業等を営む方などが対象となります。 |
これらは、福祉関連の事業を行う事業者が必要な資金を低利で借り入れることができる制度になっています。
【参考】福祉増進資金(健康・福祉増進貸付)<特例貸付>|日本政策金融公庫 (jfc.go.jp)
都道府県の補助金・助成金
都道府県の補助金・助成金は、地域経済の活性化や特定の事業の推進を目的に、事業主に財政支援を行う多様なプログラムです。
東京都では、障害福祉人材の確保・育成・定着を図るため、平成31年度から「障害福祉サービス事業所職員奨学金返済・育成支援事業」を実施しています。
これら資金調達方法の他に、民間の金融機関からの融資やクラウドファンディング、エンジェル投資家からの資金調達など、多様な方法が存在します。
それぞれメリット・デメリットがあり、事業計画や資金調達の目的に応じて最適な方法を選択することが大切です。
【参考】:補助金等 | 公益財団法人 東京都福祉保健財団 (fukushizaidan.jp)
まとめ
本記事では、障害者グループホーム経営・開業に必要な資格、費用について解説しました。開業手順を理解し、費用感や資金調達方法をシッカリと把握しておきましょう。
また、事業開始にあたり、専門家の力を借りることも1つの選択肢です。
当社では障害者グループホームの開業支援を行っており、事業計画書作成・資金調達・開設準備支援だけでなく、障害者グループホームで失敗しないためのノウハウ資料を無料でご提供致します。
<関連記事>:岐阜・愛知|タカオは障害者グループホームの事業開設をサポート致します! (takao-net.jp)