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高齢化社会を見据えた土地活用法、高齢者施設で安定収益を目指す理由は?

高齢化社会を見据えた土地活用法、高齢者施設で安定収益を目指す理由は?

日本の高齢化率は2023年時点で約30%に達し、2040年には35%近くになると予測されています。需要の高い高齢者施設は、土地活用の選択肢として安定収益を得るだけではなく社会貢献も実現できる土地活用の方法になります。本記事では、高齢者施設運営のポイントを最新のデータを基に解説していきます。

目次

高齢化時代に土地活用としての高齢者施設を選ぶ理由

 

高齢化率の上昇と介護需要の拡大を背景に、高齢者施設は土地活用の有力な選択肢の一つになっています。

高齢化率30%、需要の増大を見込む未来

日本の高齢化率は2023年時点で29.1%(総務省)になり、2040年には34.8%に達すると予測されています。急速な高齢化の進展により、今後も介護施設の需要が拡大する見込みです。

出典:令和6年度高齢社会白書(総務省)P.1~3

介護市場の規模と土地活用の関連性

介護保険市場の規模は2022年度で約11兆円(厚生労働省)となっています。特に人口が集中する都市部では土地活用と介護需要が結びつきやすく、安定した供給が期待されています。

出典:令和5年介護分野の最近の動向について(厚生労働省)P.5

高齢者施設が安定収益を生む仕組み

介護施設の収益は介護保険制度に基づき安定性が高いのが特徴です。さらに、運営(職員の処遇改善など)に公的な補助を活用できるケースも多いことが収益性を高める要素となっています。

成功事例から学ぶ高齢者施設での土地活用

全国各地の高齢者施設への土地活用事例を3つ紹介します。具体例を通じて土地活用の可能性を確認してみましょう。

出典:サービス取組み事例紹介(高齢者福祉)WAMNET

都市型高齢者施設と保育所の複合施設を通じて地域福祉に貢献した事例

「社会福祉法人東京都福祉事業協会 赤羽北さくら荘・赤羽北のぞみ保育園(東京都北区)」では特別養護老人ホームと保育所を合築した複合施設を開設し、他世代交流型の地域社会に根ざした福祉サービスを展開しています。

高齢者を地域で孤立させないための取り組みで貢献した事例

平成26年4月に開設した「メディカルケアタウン東大島(東京都江東区)」は、健康増進・地域交流サロンを併設し、地域の高齢者の「健康づくり」や「生きがいづくり」を行うとともに、元気なうちから地域ぐるみ・施設ぐるみの関係性をつくり、高齢者が地域で孤立しないための地域づくりを進めています。

廃校となった小学校を利活用し、地域包括ケアの拠点にした事例

北海道北広島市では廃校となった小学校を利活用した「北広島団地地域サポートセンターともに」を開設。地域包括ケアの拠点として、さまざまな生活課題を抱える地域住民のニーズに応えています。

高齢者施設を選ぶ際の注意点とリスク管理

高齢者施設運営の成功には、地域の需要調査とリスク管理が欠かせません。

地域の需要分析が事業成功の鍵

厚生労働省「地域包括ケアシステム」資料によると、都市部と地方では高齢者施設の需要が大きく異なります。地域の介護認定率や高齢者の人口割合を確認し、介護需要に合わせた事業計画を策定しましょう。

施設運営のトラブルを避けるポイント

高齢者施設の運営事業者を選ぶ際には契約内容が適切か十分にチェックし、定期的に収支の確認を行うことが大切です。信頼できる運営事業者の選定が安定運営への第一歩になります。

初期投資と収益回収のシミュレーション

例えば、1億円の初期投資を行った場合、年間収益が1,000万円であれば10年で回収可能です。補助金や融資を上手に活用し、最適な収支シミュレーションを行いましょう。

高齢者施設運営における法的要件と許認可、指定の確認ポイント

高齢者施設を運営するためには法的な要件を満たし、行政機関の許認可、指定を受けることが必要です。事前の準備を徹底することによりスムーズな施設運営を目指しましょう。

必要な許認可と提出書類

例えば、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)を開設する場合、国土交通省への届出が必要になります。また、特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設(老健)の開設には、厚生労働省の認可を取得が必要です。「施設設置計画書」や「建築確認申請書」など多数の書類が必要になりますので、開設時期に間に合うよう時間に余裕を持った準備を行いましょう。
出典:サービス付き高齢者向け住宅(国土交通省)
出典:特別養護老人ホームの設置に関する手続きの流れについて(愛知県)

建築基準法に基づく施設の安全要件

高齢者施設は「耐火建築物」「準耐火建築物」の基準を満たす必要があります。また、車椅子対応のスロープやエレベーターなど、バリアフリー設計により利用者が安全で利用しやすい設備の設置が必須になります。
出典:介護老人福祉施設等の耐火基準の 見直しについて

消防法や食品衛生法の遵守

高齢者施設内で給食を提供する場合には、厨房設備に対する食品衛生法の基準を満たさなければなりません。さらに、防火管理者の配置や消火設備設置も義務付けられています。
出典:食品衛生法等の一部を改正する法律の施行に伴う 集団給食施設の取扱いについて(厚生労働省)

土地活用の収益シミュレーションの実例

安定した施設運営を行うためには、適切な初期投資の金額設定と収益の具体的なシミュレーションを行うことが重要です。資金調達の方法、初期投資の回収期間の目安、収益性の見通しなど事前の綿密な資金計画の策定が鍵になります。

初期投資の内訳と資金調達例

サ高住(20室規模)の建設費用は約1億円が目安です。このうち、国の補助金制度で10%をカバーする場合、実質負担額は約9,000万円となります。「原則として省エネ基準に適合する」など補助金を受給するための条件を事前に確認しておきましょう。
出典:サービス付き高齢者向け住宅を整備する事業者 を支援します! 「令和6年度サービ ス付き高齢者向け住宅整備事業」の募集を開始(国土交通省)

年間収益と回収期間の計算例

サ高住(20室規模)で1室あたり月額家賃15万円とすると、年間収益は約3,600万円。管理費・運営費を差し引き、10〜12年で初期投資を回収可能な計算になります。

地方型高齢者施設の収益性比較

地方で運営される特養の場合、補助金の割合が都市部より高い傾向があります。これにより初期負担が軽減され、早期に黒字化を達成するケースがあります。詳しくはお住まいの地域にある行政機関の窓口でご確認ください。

高齢者施設を運営するパートナー選びの重要性

成功する土地活用には信頼できるパートナーの選定が欠かせません。運営事業者を選定する際のチェックポイント、選定基準、活用事例をご紹介します。

運営事業者選定のチェックポイント

「経営実績」「入居率」「地域での評判」を確認し、信頼性の高い運営事業者を選びましょう。公開されている事業者の業績報告書が参考になります。複数の運営事業者を比較することも重要です。

設計施工パートナーの選定基準

高齢者施設の設計・施工に実績がある会社が望ましいです。また、建築後のメンテナンス体制については契約前に確認することが大切です。

専門コンサルタントの活用事例

高齢者施設の設立支援を専門とするコンサルタントを活用した場合は、地域の介護需要の調査や補助金の申請がスムーズに進むなどメリットが感じられるでしょう。

補助金制度を活用した初期費用の削減方法

国や地方自治体の補助金を活用することで、高齢者施設の初期投資負担を大幅に軽減できます。

国の「サ高住補助金制度」の概要

サ高住建設時には、1戸あたり最大135万円の補助金が支給されることがあります。このような補助金制度を活用することによって、施設の建設費用を圧縮することが可能です。

出典:サービス付き高齢者向け住宅の登録制度の概要(国土交通省)P.2

地域特有の補助金を活用する具体例

地方自治体では国の補助金とは別に高齢者施設建設について補助金制度を設けている場合があります。例えば、愛知県では「愛知県介護施設等整備事業費補助金交付要綱」に定める介護施設等の整備等に要する経費の一部を補助しています。
出典:愛知県介護施設等整備事業費補助金交付要綱(愛知県)

補助金申請の成功率を上げるコツ

補助金を申請する際は、地域需要に応じた具体的な計画書を提出することが重要です。また申請書類の準備は個人でも対応可能ですが、専門コンサルタントの協力を得るとよりスムーズに進めることができます。

税制優遇措置を最大限に活用する方法

土地活用で得られる収益を高めるためには、税制優遇措置を活用することが有効です。

土地固定資産税の軽減措置

サ高住などを建設すると、土地に掛かる固定資産税が最大5年間軽減される制度があります。この制度を利用することにより、固定資産税の節税が可能です。

出典:サービス付き高齢者向け住宅供給促進税制の概要(国土交通省)

不動産所得に対する控除制度

高齢者施設の運営によって得た所得については、減価償却や運営経費として控除できる項目が多いため、実質的な税負担が軽減されます。控除を受ける条件の一つに「主要構造部が耐火構造、準耐火構造であること」とあり、前述した建物の構造に関する基準を満たす必要があることが分かります。

出典:サービス付き高齢者向け住宅供給促進税制の概要(国土交通省)

相続税対策としての高齢者施設運営

高齢者施設を運営する土地は「貸家建付地」として評価されるため、相続税の評価額が通常の土地より20〜40%減額されます。これが相続対策として大きなメリットになります。
出典:No.4614 貸家建付地の評価(国税庁)

高齢者施設の運営に必要な人材と採用のポイント

高齢者施設運営には適切な人材の確保が不可欠です。特に利用者の介護サービスへの満足度、施設への定着率に直結する「介護職員の採用と育成」が重要になります。

介護職員の必要人数と配置基準

例えば、特養では入居者3人に対して介護職員1人の配置が義務付けられています。適切な人員配置は利用者の安全と満足度を向上させる鍵となります。また、法令で定められている人員配置基準を満たせない場合、罰則を受ける可能性があります。場合によっては、施設の運営停止など重い処分を受けることもありますので注意が必要です。

出典:人員配置基準等(厚生労働省)P.4

人材不足の現状と対策

厚生労働省の調査によると、2026年には介護職員が約25万人不足すると予測されています。人材不足の解決策としては、地域の専門学校や職業訓練校と連携し、施設の周辺地域から人材を確保する取り組みも有効です。
出典:第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について(厚生労働省)

外国人介護人材の活用

外国人技能実習制度や特定技能制度を活用することで、人材不足の解消を図ることも検討してみましょう。2023年には約4.5万人(下記、厚生労働省の発表資料より)の外国人の介護人材が日本で活躍しています。

出典:外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱いについて (介護人材の確保と介護現場の生産性の向上)(厚生労働省)P.4

将来を見据えた高齢者施設の事業拡大戦略

高齢者施設の運営で安定した収益を得るためには、長期的な視点で事業を拡大する戦略が必要です。

高齢者向けサービスの多角化

介護だけでなく医療やリハビリテーション、多様なレクリエーション活動などを取り入れるなどサービスの多角化を進めることにより、利用者の満足度の向上に繋がります。また、他の施設との差別化や地域での競争力を高めることにも役立ちます。

地域包括ケアシステムとの連携

厚生労働省が推進する地域包括ケアシステムに参加し、医療機関や自治体との連携を強化することで認知度、信頼度が上がり、地域社会への貢献度を高めることができます。

周辺サービスへの事業展開

訪問介護やデイサービス事業を展開することで収益を上げる仕組みを構築することもできます。地域ごとの介護需要を把握し、実情に合った周辺サービスへの事業展開を検討してみましょう。

まとめ

高齢者施設を活用した土地活用は、高齢化社会のニーズを的確に捉えた安定収益モデルの一つです。施設運営を成功させるためには、地域の需要分析、適切なパートナー事業者の選定、補助金の活用、人材確保といった多方面の取り組みが必要です。
また、長期的な視点での事業拡大戦略を立てることで持続可能な収益を実現できます。ぜひ本記事を参考に、具体的な計画を進めてみてください。

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