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農地転用のトラブル事例とは?失敗しないための基礎知識を解説します

農地転用のトラブル事例とは?失敗しないための基礎知識を解説します

「農地転用に関してトラブルが起きる原因は?」「無断で転用をしてしまったらどうなるの?」農地の転用を検討する際、このような疑問をお持ちの方は多いと思います。この記事では農地転用に関する基礎知識を確認した上で、農地転用のポイントについて解説していきます。農地転用を行う際のトラブルを事前に回避し、安全に転用を進める方法を確認していきましょう。

農地転用とは?

田畑などの農地を農地以外の目的に利用することを「農地転用」といいます。例えば農地の用途を変更して建物を建てたり駐車場を作る場合や、地目を変更して農地を売買するようなケースです。尚「農地転用」を行うためには農地法に基づく許可(市街化区域内農地の場合には「届出」)が必要です。

農地転用の目的は?

農地転用を行う目的は何でしょうか?農林水産省の「用途別農地転用面積の推移(令和3年度)」を参考に確認してみましょう。用途の種類別でみると「住宅用地(24.0%)」が全体の約4分の1を占めています。工業・鉱業用地(6.6%)、商業・サービス等用地(5.4%)の割合と比べると住宅用地への転用が多いことが分かります。

出典:用途別農地転用面積の推移(農林水産省

「農地法」に違反した際の罰則について

前述の通り、農地を転用する場合には都道府県知事等の許可(または届出)が必要です。もし、許可を取らずに違反転用をした場合は懲役、または罰金が課せられる場合がありますので、必ずルールに則った手続きを行いましょう。また、許可を受けた後に転用許可に付した条件に違反したり、虚偽など不正な手段により許可を受けたことが判明した場合も違反転用に該当します。

【罰則】
個人:3年以下の懲役、または300万円以下の罰金
法人:3年以下の懲役、または1億円以下の罰金


出典:違反転用防止啓発リーフレット(農林水産省)

違反転用をした後の流れ

違反転用を行った場合は農業委員会、または都道府県知事等より「是正の指導」→「書面での勧告」→「処分、命令」が行われます。指導に従わない場合は勧告、勧告にも従わない場合には「許可の取消し」「原状回復命令」「許可条件の変更」などの処分、命令が行われる流れです。また、緊急に措置を行う必要がある場合には都道府県知事等が「行政代執行」を行い、違反者に対しては復旧に係る費用が請求されることがあります。


出典:違反転用に対する措置について(農林水産省)

違反転用をした場合の対応

違反転用をした場合は指導、勧告などの内容に従って必要な対応を行いましょう。原状回復命令があった場合には、建物の取り壊しが必要になることもあり、経済的な負担は小さくありません。正しい手続きを行うことが原則ではありますが、特に悪質な場合を除き、追認的に許可を得るケースが多いです。令和4年度は違反転用件数(3,922件)のうち87.1%(3,418件)が追認許可を受けており、原状回復は0.79%(31件)と限定的になっています。

出典:違反転用の是正状況(当該年に新たに発見した違反転用)農林水産省

「農地」の種類を確認

農地は「市街化区域の農地」と「市街化調整区域の農地」の2つに大別されます。区域によって農地転用を行う際の手続きが変わりますので、それぞれの特徴を確認していきましょう。

市街化区域の農地

市街化区域とは「すでに市街地を形成している区域、及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」のことを指します。市街化区域内の農地を転用する場合には、都道府県知事等の許可は必要なく、農業委員会への事前の届け出で行うことができます。

市街化調整区域の農地

市街化調整区域は「市街化を抑制すべき区域」と定義されています。新しい建物を建てることが抑制される区域です。市街化区域内の農地を転用する場合には、都道府県知事等の許可が必要です。
では、市街化調整区域の農地を転用するには、なぜ許可が必要なのでしょうか。前提として国としては国民の食を支える農地を守る必要があります。無計画に農地を減らすことになると生産される農産物の量が減り、食料自給率にも悪い影響が考えられます。そのため、農地の取引には厳しい制限がかけられているわけです。

農地転用の許可基準は?

次に農地転用の基準を確認していきましょう。農地転用を行うためには農地区分に基づいて判断される「立地基準」、申請書の内容によって判断される「一般基準」の2つをクリアする必要があります。

立地基準

立地基準とは農地の営農条件、周辺の市街化の状況を基に転用の可否を判断する基準のことです。下記、農地区分に基づいて判断されます。
生産性の高い「農用地区域」「第1種農地」は原則として転用不可、市街化区域の農地など「第3種農地」は原則として転用が許可されています。生産性の低い農地である「第2種農地」については「第3種農地」に立地できない場合のみ農地転用が許可されています。


出典:農業振興地域制度と農地転用許可制度の概要(農林水産省)

一般基準

一般基準は申請書の内容などに照らし合わせて判断され、次に該当する場合には不許可になります。

【不許可の条件】

・転用の確実性が認められない場合
・周辺農地への被害防除措置が適切でない場合
・農地の利用の集積に支障を及ぼす場合
・一時転用の場合に農地への原状回復が確実と認められない場合

つまり、農地転用を行うための必要な資金があり、確実に転用ができるかという資金面と事業性についての確認と周辺の農家が農業を営む妨げとならないかなどの条件を総合的に見て判断されるわけです。

参考:農地転用許可制度の概要(農林水産省)

尚、違反転用を行い追認的許可を受けた場合でも立地基準、一般基準を満たす必要があります。

宅地などに農地転用ができない土地とは?

次に農地転用ができない土地について詳しく説明します。「農用地区域内農地」「甲種農地」「第1種農地」は立地基準に当てはまらない為、原則として農地転用ができません。例外的に農地転用が許可される場合がありますので、併せて見ていきましょう。

農用地区域内農地

農用地区域内農地は、生産性の高い優良な農地のため、原則として農地転用が認められません。

・市町村が定める農業振興地域
・整備計画において農用地区域

甲種農地

市街化調整区域内の以下の土地は甲種農地に分類され、原則として農地転用ができません。

・農業公共投資後8年以内農地
・集団農地で高性能農業機械での営農可能農地

第1種農地

農用地区域内農地と同様に、原則として農地転用ができません。

・集団農地(10ha以上)
・農業公共投資対象農地
・生産力の高い農地

「原則」は農地転用は不許可となりますが「例外」として許可されるケースがあります。下記資料をご確認ください。

参考:農地転用許可制度の概要(農林水産省)

相続した農地をそのままにするとどういうトラブルがあるの?

農地を相続した際、転用せずにそのままにした場合はどのような問題が発生するのでしょうか。「固定資産税」「維持管理の大変さ」「近隣とのトラブル」の3つに分けて解説します。

固定資産税

使わない不動産は財産ではなく、負債となり得ます。土地所有者には固定資産税の支払い義務が発生しますが、仮に2,500万円の宅地を取得した場合には年間5万8,000円の固定資産税の納付が必要です。

〈計算式〉
2,500万円(宅地) × 1.4% × ※6分の1 = 5万8,000円

※小規模住宅用地の特例を適用した場合(200㎡以下の土地の固定資産税は6分の1に軽減される)で計算しています。

維持管理の大変さ

土地の維持管理に費用が掛かります。適切に管理ができない場合、草むしり、木の伐採、害虫駆除、不法投棄されたゴミの処分などさまざまな負担が発生します。田畑の場合は、管理を行わないことで耕作放棄地になり、土地が痩せて農地としての使用が難しくなることも考えられます。

近隣とのトラブル

隣家や周辺住民とのトラブルに発展する可能性もあります。トラブルを未然に防ぐためには一定の費用を掛けて維持管理を行う必要があります。

農地転用ができない土地の活用方法について

立地条件、一般条件に該当せずに農地転用が難しい場合には、どのような土地活用の方法が考えられるでしょうか。前述の通り、固定資産税の負担を考えると土地活用を検討される方もいらっしゃると思います。こちらでは「農地の貸し出し、売却」「市民農園を開設」「太陽光発電」の3つをご紹介します。

農家に農地を貸し出し、売却

農地を転用せず、農地のままで他の農家に貸し出しをする、または売却をするという選択肢もあります。その場合、農業委員会への申請と許可が必要です。

市民農園を開設(農園利用方式)

農園利用方式に基づく体験農園であれば、法律上の手続きは不要で開園ができます。ただし、農地の所有者が農地の維持管理が必要となる点がデメリットになります。

太陽光発電

郊外で広い土地がある場合には、太陽光発電という活用法を検討してみてはいかがでしょうか。太陽光発電は固定価格買取制度(FIT制度)により安定した収益を得られる点がメリットになります。郊外でも運営ができ、補助金制度を利用することで初期費用を抑えられることも嬉しい点です。一方で駐車場経営に比べるとソーラーパネルの設置費用(数百万円)が掛かり、発電量に不安定さがあるなどデメリットもあります。

メリットデメリット
売電で収益を得られるソーラーパネルの設置費用が掛かる
郊外でも運営ができる発電量が不安定
補助金制度がある初期費用の回収に10年程度かかる

出典:再生可能エネルギー - FIT・FIP制度 ガイドブック(資源エネルギー庁)P.3

まとめ

農地転用に関する基礎知識の確認と農地転用のポイントについて解説しました。

違反農地転用を行った場合、懲役・罰金など刑罰の対象となります。

立地条件、一般条件を確認し適切に許可の申請を行いましょう。

また、土地活用を行わない場合のリスクを把握し、農地転用ができない場合にも対応できる土地活用についても検討してみてください。

トラブルを事前に回避し、安全に転用を進める方法を確認していきましょう。

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