土地を所有していても、使い道が分からず悩んでいる方も多いのではないでしょうか。土地を放置していると、雑草が生えてきて景観を損なったり、ゴミの不法投棄や占拠されたりするなどのトラブルを招きます。
そのため、土地をそのまま放置するよりも運用した方が収益化も見込めておすすめです。
しかし、できる限りお金をかけずに土地を運用したいと考える方もいるでしょう。実は、初期費用を抑えて土地運用できる方法はいくつか存在します。
本記事では、お金のかからない土地運用方法やメリット、土地運用で失敗しないポイントについて詳しく解説しているので、ぜひ最後までお読みください。
お金のかからない土地運用とは?
土地運用というと、アパートやマンション経営のように多くの初期費用がかかるイメージを持っている方も多いでしょう。しかし、お金をかけなくても土地運用できる方法は存在します。
例えば、土地そのものを活用する運用方法や、低コストで運用できるアイデアを活かせば、負担を抑えつつ収益化を目指すことが可能です。
具体的には、月極駐車場や資材置き場、キャンプ場などのアイデアが、お金をできるだけかけずに土地運用できる方法として挙げられます。
これらの方法は、土地を整備すればすぐ運用開始できるため、初期費用も少なく済みます。
また「定期借地契約」を活用して、企業に土地を貸し出し、地代の収入を得る方法も、低コストで始められる土地運用の方法です。
定期借地契約とは、土地を貸し出す際に一定の条件を満たせば、決められた期間の契約満了時に、土地を返還してもらえる土地貸し出しの方式です。
地主側が土地の上に建物を建てる必要もなく、長期間地代を安定して得られるため、お金をかけずに土地を収益化につなげるのにおすすめの方法の一つだといえます。
〈参考〉:国土交通省「定期借地権の解説」
このように、お金をかけずに土地運用する方法はいくつも存在するため、所有する土地の立地や状況に応じた運用方法を選んで、コストを抑えつつ収益化を目指しましょう。
お金をかけない土地運用の4つのメリット
お金をかけずに土地運用を行うと、主に4つのメリットが得られます。
◯初期費用が少なくて済む
◯すぐに収益化できる可能性がある
◯定期的な収入を得られる
◯地域貢献につながる
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
初期投資が少なくて済む
お金をかけない土地運用の最大のメリットは、初期費用を抑えられる点です。アパートやマンション経営などの土地運用だと建築費用や設備投資費用など、多額の初期費用がかかります。
しかし、駐車場経営のように、土地そのものを活用する方法であれば、最低限の整備費用で済むでしょう。
例えば、月極駐車場であれば、アスファルト舗装やライン引き程度で準備が完了します。
土地の状態によってはライン引きなど駐車スペースが明確に分かるようにすれば、未舗装でも運用を始められます。
初期費用を抑えられるため、資金に余裕がなく土地運用を断念していた方でも気軽に始められるため、リスクを減らしつつ収益化に一歩踏み出せるでしょう。
すぐに収益化できる可能性がある
お金をかけない土地運用は、建物を建てて運用する方法と比べて、比較的すぐ始められるため、早く収益化できる可能性があります。
例えば、土地を駐車場として整備して運営すれば、駐車場を利用する需要が高ければすぐ収益化できるでしょう。
一方で、建物を建てて運用する方法だと、建築期間の間は収入が入ってこないため、収益化までに時間がかかります。
土地を短期間で収益化したい方にとっては、お金をかけない土地運用は最適な選択肢といえます。
定期的な収入を得られる
お金をかけずに土地運用を始められれば、ローンなどの初期費用の返済額が少なくなるため、収益をそのまま手元に残しやすいメリットがあります。
ただし、安定した収入を得られるかどうかは、契約期間の長さや需要の高さなどに左右される点には注意が必要です。
例えば、月極駐車場やトランクルーム経営は、利用者さえ見つかれば安定した収益を長期間得やすいです。
また、定期借地契約のように土地そのものを貸し出す場合も、契約内容に基づいて長期間の地代収入が得られます。
定期的な収入が得られれば、固定資産税や土地の管理費用の負担を軽減できます。資金計画も立てやすくなるため、長期的な土地運用を考えている方にとってもよい選択肢です。
地域貢献につながる
お金をかけない土地運用は、内容次第で収益化だけでなく地域貢献につながる場合もあります。土地を運用することで、地域住民や企業が利便性を感じられる場所を提供できるからです。
例えば、土地の近くに商業施設がある場合、コインパーキングとして土地運用すれば、商業施設の利用客が利用してくれて、地域全体の集客力アップにつながるでしょう。
また、キャンプ場やイベントスペースとして運用すれば、観光客や地域住民の交流の場を提供でき、結果的に地域活性化につながる可能性があります。
さらに、土地運用を進めれば、土地を放置することによる雑草の繁殖や不法投棄、不法占拠といったリスクも防げます。
お金をかけない土地運用の2つのデメリット
お金をかけない土地運用のメリットが多く存在する一方で、デメリットがないわけではありません。
◯収益性が低い可能性がある
◯お金をかけない分自由度が少ない
それぞれのデメリットについて解説します。
収益性が低い可能性がある
お金をかけない土地運用は、初期費用をかけて行う土地運用と比べて収益性が低い可能性があります。
例えば、月極駐車場経営は初期費用を抑えられますが、一方で得られる収益が少ない場合があります。
具体的には、建物を建てて部屋単位で貸し出し賃料を得るアパートやマンション経営と比べた際に、賃料の単価が低くなることが主な理由です。
東京のような都会であれば、月極駐車場は1スペース1万円〜3万円以上で貸し出せるケースが多いですが、田舎では商業施設など、駐車場がすでに備わっている場合があります。
そのため、賃料も数千円程度とかなり少なくなってしまうのです。
東京と田舎で最大10台駐車できる月極駐車場を経営したとしましょう。10台全て埋まったとして、東京の場合は10万円〜30万円の収益が得られます。
一方で田舎の場合は、月極駐車場の管理会社ホームページを参照して、1台につき約6,000円と仮定すると、6万円程度の収益となり、かなり差が見られます。
ただし、駐車スペースがすべて埋まるとも限りません。
また、土地の運用方法によっては需要も限られています。
資材置き場や貸し農園のような運用方法は、特定の層にしか利用されにくいため、なかなか利用者が見つからず、安定した収益を得られないことも考えられるでしょう。
収益性を高めるには、土地の立地や周辺地域のニーズに合った土地運用方法を選びましょう。
土地周辺を視察したり、周辺施設には何があるのか調査したりしてニーズ把握できれば、その土地に合った最適な運用方法を決めやすくなります。
お金をかけない分自由度が少ない
お金をかけない土地運用では、選択肢が限定されるため自由度が少ない場合があります。
例えば、アパートやマンション経営のように建物を建てて土地運用する方法では、部屋の間取りを決めたり建物の外観や内装のデザインを決めたりするなど、自由度が高いです。
しかし、低コストで土地を運用する場合は、土地そのものを活用することが多いため、アイデアが限られます。
所有している土地が、三角形や台形などの不整形地や狭小地であれば、さらに運用方法の選択肢が狭まるでしょう。
また、低コストで土地運用する分、収益を上げる工夫が求められます。
そのため、自由度の低さを補うためにも土地の特性を理解して、限られた条件の中で効果的な運用方法を考える必要があります。
お金をかけない土地運用アイデア6選
お金をかけずに土地運用するアイデアを6つご紹介します。ご紹介する土地運用アイデアは、費用をかけて整備すれば200万円〜1,000万円程度かかるものもありますが、それぞれの運用方法において、費用をかけずにスタートする方法が存在します。
例えば月極駐車場であれば、5台〜10台規模でアスファルト舗装やライン引きを行えば、200万円〜500万円程度かかるとされていますが、舗装せず未舗装のまま、区画整理用のロープを使えば、ほぼ初期費用をかけずにスタートできるのです。
コインパーキング経営においても、アスファルト舗装して台数分のフラップの設置、精算機や監視カメラを設置すれば、5台〜10大規模で500万円〜1,000万円程度かかります。
しかし、月極駐車場と同様に未舗装のままロープを使って区画整理し、監視カメラと精算機の設置程度でスタートすると、初期費用をかなり抑えられます。
他の運用アイデアについても同様です。そのため、自分の持っている土地の立地や、どのように運営したいのかによって金額が大きく変動することを覚えておきましょう。
駐車場経営
駐車場経営は、初期費用を抑えて始められる土地運用方法の一つです。月極駐車場であれば、アスファルト舗装やライン引きといった最低限の整備だけで始められます。
未舗装のまま、トラロープと呼ばれる区画整理用のロープを使って月極駐車場を経営することも可能ですが、砂利が車に跳ねて傷がつく可能性はゼロではないため、ほとんど初期費用をかけたくない方やしっかり整備して収益につなげたい方は、お金をかけて舗装したほうがよいでしょう。
また、コインパーキングの場合は精算機の設置が必要ですが、精算機のレンタルを利用すれば初期費用を抑えられます。さらに、土地によっては舗装する必要がなくそのまま運用できる場合があり、初期費用を抑えることが可能です。
都市部の駅や商業施設周辺、観光地に近い場所などに土地を所有している場合は、利用者が多く見込まれるでしょう。
キャンプ場
キャンプ場は、自然環境を活かして運用できる土地運用方法の一つです。最低限トイレや水道を設ければ始められます。
近年では、ソロキャンプやグランピングが流行したこともあり、今でもアウトドアが好きな層に一定の需要が見込めます。また、地域の観光資源を活用したイベントを誘致するなどの工夫をすれば、集客力を高められるでしょう。
運営方法にも種類があり、自動車を乗り入れられるオートキャンプ場、コテージやロッジを建築して提供する方法、山林をほぼそのまま野営キャンプ体験として提供する方法などさまざまです。
コテージやロッジの建築をして提供する方法では、そのぶん費用も高額になってしまいます。ですが、車の乗り入れスペースやテントを張るスペース程度の用意で始められるオートキャンプ場や、ほぼ手つかずの山林を野営キャンプの体験施設として貸し出す場合などはさらに費用を抑えられるでしょう。
貸し農園
貸し農園は、所有している農地を区画に分けて農作業を楽しむ利用者に貸し出す土地運用方法です。所有している土地が既に農地の場合は農地転用も必要なく始められます。
農地の管理と作物の栽培を所有者が行い、利用者に入場料や収穫物の料金を支払ってもらうことで収益を得たり、農業の経験がある方に対して農地を貸し出したりして地代収入を得るなどの方法があります。
デメリットとしては、作物を育てたり、畑が定期的に荒れていないか確認したりするなど、管理の手間がある程度必要になる点です。
資材置き場
資材置き場は、主に建設会社や土木会社向けに土地を貸し出し、工事に必要な資材や機材を保管するスペースを提供し、地代収入を得る運用方法です。
設備費などもかからず、利用者さえ見つかればすぐ始められるのがメリットです。
特に、工事現場が近いエリアであれば、資材の移動にも時間がかからないため、利用したい企業が見つかりやすいでしょう。
ただし、実際の需要については周辺企業の建設会社などの数や、周辺で工事のプロジェクトがあるかどうかで変わるため、事前に情報収集が必要です。
イベントスペース
イベントスペースとして土地を貸し出す運用方法も、低コストで運用できるアイデアの一つです。例えば、お祭りやフリーマーケット、グルメフェスなど、地域のイベント開催場所として提供できます。
特に、広めの土地であればテント設営やステージの設置もできるため、多くのイベントで活用される可能性があります。
ただしデメリットとして、イベント開催は不定期なことが多いため、収益が安定しない可能性や、使用されていない期間の無断駐車や無断使用に注意が必要です。
土地を貸し出す
どうしても土地の運用アイデアが思い浮かばない場合は、土地をそのまま貸し出して地代収入を得るのも一つの方法です。特に「定期借地契約」を利用すれば、貸出期間を決めたうえで、契約終了時には土地の取り壊しをして返却してもらうことも可能です。
地主側が建物を建てる必要がなく始められるため、初期費用をかけずに済みます。借り手が見つかれば、10年以上安定した収益を得続けることも可能です。
土地運用で失敗しないための4つのポイント
土地運用を始める際には、以下の4つのポイントを押さえてから進めると失敗するリスクを減らせます。
◯土地の立地条件を確認しておく
◯法規制について理解しておく
◯土地運用の収支シミュレーションを行う
◯土地運用のプロに相談する
それぞれのポイントについて解説します。
土地の立地条件を確認しておく
土地運用を成功させるためには、所有している土地の立地条件を把握しておきましょう。具体的には、土地の広さや形状、接道状況、周辺施設などを確認しておくと土地運用のアイデアを考えやすくなります。
例えば、交通量の多い都市部や駅周辺、商業施設の近くに土地を所有している場合は駐車場経営が適しています。郊外に土地を所有している場合はキャンプ場なども視野に入れられるでしょう。
また、接道義務を満たしていない土地は、建物を建てられないといった制約があるため、事前に確認しておきましょう。
法規制について理解しておく
土地運用を計画する際には、法規制についての理解も欠かせません。土地には「用途地域」といって、土地によってどのような建物や用途で利用できるのかが決まっています。
例えば、住居系の用途地域では、商業施設や工場のような施設は建てられません。また、土地の上に建物を建てる場合も、建築基準法によって建ぺい率や容積率の上限があります。
法規制を理解しないまま進めると法令違反になり、運用計画が頓挫する可能性があります。所有している土地がどの用途地域に属しているのかについては、自治体の窓口やホームページで確認できるので、必ず確認しておきましょう。
土地運用の収支シミュレーションを行う
土地運用を計画する際は必ず収支シミュレーションを行いましょう。初期費用や運営にかかるコスト、見込み収益を具体的に計算すれば、赤字リスクを抑えられます。
例えば駐車場経営だと、舗装にかかる費用や管理費、精算機の設置費用などを計算し、月々の収益でどの程度回収できるのか確認します。
もし事業用ローンを組んで土地運用を始める場合は、銀行で資金計画について相談をすることも可能です。
甘い見通しで後から赤字リスクを抱えないためにも、計画段階で必ず試算してみましょう。
土地運用のプロに相談する
土地運用を成功させるためには、土地運用のプロの力を借りるのも効果的です。土地運用に関する専門知識を活かして、それぞれの土地の特徴や法規制、周辺の市場状況も考慮したうえで、最適な運用方法を提案してくれます。
また、それぞれの土地運用方法に対する具体的なリスクも提示してもらえるため、どの土地運用方法でいくのか、初心者でも判断しやすくなるでしょう。
まとめ
お金をかけない土地運用は、初期費用を抑えて収益化を目指せる方法が多く存在します。
駐車場経営や資材置き場、定期借地契約を結んだ土地そのものの貸し出しなど、土地をそのまま活用する方法を選べば、出費を抑えながら安定した収益につなげられるでしょう。
土地運用を始める際には、土地の特徴や周辺状況、法規制を把握して、収支計画を念入りにすれば失敗するリスクを抑えられます。
もし自分だけで土地運用を進めるのに不安がある方は、土地運用のプロの力を借りるのもおすすめです。
タカオでは、土地運用に関する専門知識や経験を活かして、それぞれの土地に合わせた最適なプランをご提案しています。
土地運用を検討している方は、ぜひ一度ご相談ください。