所有している土地が狭い場合は活用方法が限られているため、つい放置してしまう方もいるでしょう。
しかし、土地を放置すると、土地が荒れて後々除草作業などの清掃・維持費が多くかかったり、近隣トラブルにつながったりするなどのリスクがあります。
そのため、狭い土地でも有効利用できる土地の活用方法を模索していくのがおすすめです。
本記事では、狭い土地を有効活用するメリット・デメリットや狭い土地の活用アイデア、狭い土地活用を成功させるためのポイントについて詳しく解説します。
記事をお読みいただければ、狭い土地の活用方法が分かり、土地活用を始める際に失敗するリスクを減らせるでしょう。
ぜひ最後までお読みください。
狭い土地の定義とは
狭い土地(狭小地)には、具体的な定義が存在しません。一般的に15坪(約50平方メートル)〜20坪(約66平方メートル)以下の土地が狭いといわれています。
坪単価が高い首都圏や都市部で見られることが多いです。土地の形状もさまざまで、正方形や長方形型の整形地だけでなく、三角形や台形型の不整形地なども存在しています。
狭い土地の場合は建築の設計が難しくなったり、利用方法が限られたりするなどして活用が難しい場合があります。
しかし、このような狭い土地は、税金や土地の価格の面で有利になることもあり、工夫次第で収益につなげられるため注目されているのです。
そのため、既に土地を所有している方以外にも、あえて狭い土地を購入し、活用してビジネスを始める方もいます。
また、国内の少子高齢化が急速に進んでおり、今後100年の間に日本の人口は明治時代後半と同水準の約3,000万人代まで減少するとされています。
既に人口減少や高齢化による問題は各地で起き始めており、静岡県沼津市の中心市街地では、27%の土地が居住もしくは業務の用途で使用されていない低未利用地となっているのです。
このことから、国として都市のコンパクト化を行い、居住や都市機能を集積させて活性化させていく「コンパクトシティ政策」が進められています。
今後都市部を中心に空き地の活用ビジネスは広がっていくと予想できるため、狭い土地であっても今から活用を進めていくのがおすすめです。
〈参考〉:国土交通省「コンパクトシティ政策について」
一方で、コンパクトなまちづくりを目指すうえで注意したいのが、建て詰まりです。建て詰まりとは、一つのエリアに建物がたくさん密集してしまう現象です。日照や通風、採光などの居住性の悪化や、火災、建物の倒壊に伴う危険性が指摘されています。
〈参考〉:国土交通省「4.ミニ開発の評価指標について」
狭い土地を活用していくには、その点も踏まえて活用アイデアを考えるとよいでしょう。
狭い土地を活用する5つのメリット
狭い土地を活用することで以下のメリットが得られます。
◯継続した収益が得られる
◯固定資産税を抑えられる
◯相続税対策につながる
◯地域貢献ができる
◯かかる初期費用が少ない
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
継続した収益が得られる
狭い土地でも、活用して利用者を見つけられれば、継続した収益につなげられます。例えば、単身者向けのアパートやワンルームマンション経営、駐車場・コインパーキング経営などは、狭い土地でも実現しやすく継続した収益を得やすいです。
ただし、安定した収益を得るには、周辺地域のニーズ把握が欠かせません。現地の環境を視察して人や車の通りを調べたり、競合施設がないか確認したりして、所有地の環境に合った土地活用を行う必要があります。
固定資産税を抑えられる
狭い土地を所有している、もしくは所有していても放置してしまっていると、固定資産税を無駄に払い続けることになります。そのため、なんらかの用途で土地を上手く活用できれば、その分の収益を固定資産税に充てられて負担を減らすことが可能です。
また、「小規模住宅用地の特例」を活用すれば、200平方メートル以内の標準課税が減額されます。
具体的には、固定資産税は評価額から6分の1、都市計画税の場合は評価額から3分の1に減額されるため、税金対策にもなるのです。
〈参考〉:岐阜市「住宅用地の特例措置」
相続税対策につながる
将来的な相続についても、狭い土地を活用すれば相続税対策につながる場合があります。
例えば、土地の上に賃貸住宅を建てて貸付事業を行なっている場合「小規模宅地等の特例」により、200平方メートルまでの部分が評価額から50%減額対象となります。
このような特例を使えば、活用していなかった土地をそのまま相続する場合に比べて、大幅に節税可能です。
土地活用における税金の特例措置については、国税庁でも詳細が記載されているため、参考にしてください。
〈参考〉:国税庁「No. 4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
地域貢献ができる
狭い土地をそのまま放置するよりも、土地活用すれば地域への貢献にもつながります。
例えば、コインランドリーやコンビニエンスストアの設置を行えば、地域住民の利便性が増すでしょう。
駐車場経営を行うのも、車を駐車して近くの施設に寄りたいと考えている層に対して有効です。周辺地域を調査して、足りていない施設を導入すれば、地域の活性化に貢献できます。
かかる初期費用が少ない
狭い土地を活用するメリットとして、初期費用が安く済む点も挙げられます。建物を建築する場合でも、土地が狭いため、一般的な土地の広さで同じ種類の建物を建築するよりも必然的にスペースが狭くなる分、建築コストも下がります。
また、駐車場やコインパーキング経営など、狭い土地でも行える土地活用方法を行えば、初期費用も抑えることが可能です。
狭い土地を活用する3つのデメリット
狭い土地での土地活用はメリットが多く存在します。一方で、以下のデメリットがあることも見逃せません。
◯狭いため活用方法が限定される
◯活用方法によってはコストが割高になる
◯一般的な土地と比べて収益性が低い場合がある
それぞれのデメリットについて詳しく解説します。
狭いため活用方法が限定される
狭い土地は、面積や形状によって活用方法が限定される場合があります。例えば、賃貸住宅を建てる際でも、三角形型などの不整形地の場合は建物の形が歪になり、入居者が見込めない可能性もあるのです。
また、土地によっては狭すぎて、建物そのものを建築するのが現実的でない場合も考えられます。
狭い土地を活用するのであれば、建物の広さや形状を理解し、適した用途の活用方法を選択する必要があります。
活用方法によってはコストが割高になる
狭い土地で建物を建築する場合は、通常よりもコストが割高になる可能性があります。狭い土地で建物を建てようとすると、縦に長く建築する必要があることもあり、床面積が増える分、施工費用も割高になります。
また、建築業者の車両や資材置き場が確保できない場合は作業効率が低下し、工事に長期間かかったり、人件費が増加したりする可能性も考えられるでしょう。
一般的な土地と比べて収益性が低い場合がある
狭い土地ではどうしても一般的な広さの土地と比べて規模が小さくなるため、比例して収益性も低くなる場合があります。
例えば、同じ用途で土地を活用する場合でも、アパートやマンション経営は提供できる部屋数や駐車スペースが少なくなるため、収益に直結します。
駐車場やコインパーキング経営なども、規模が小さくなる分、収益性が劣る可能性が高いです。
このように、狭い土地は収益性の面で不利な場合もあるため、土地活用を計画した段階でシミュレーションを行い、できる限りのリスク管理するのが大切です。
狭い土地を活用するための具体的なアイデア
土地活用をしたくても、狭い土地では無理だと悩んでいる方も多くいるでしょう。しかし、土地が狭くても実現可能なアイデアは存在します。
以下は狭い土地でも活用できるアイデアの一例です。
◯アパート・ワンルームマンション
◯小規模店舗
◯コインランドリー
◯シェアハウス
◯駐車場・コインパーキング
上記のように、狭い土地でも活用できるアイデアであれば、収益につなげることは可能です。
ただし、土地が狭い分、収益性も一般的な広さの土地と比べて小さくなりやすいです。
そのため、やりたい活用アイデアが思い浮かんだ際には、現実的に実現可能なのか、収益につなげられるのかどうか判断する必要があります。
土地活用に失敗しないためにも、土地周辺にどのような施設があるのか、人通りや車通りが多いかどうかなどのニーズ調査が欠かせません。
狭い土地の活用アイデアについて詳しく知りたい方は、以下の記事でも解説しているため、併せてご覧ください。
〈参考〉:狭小地の土地活用をあきらめない!狭い土地の活かし方8選
狭い土地を活用する際に押さえておくべき3つのポイント
狭い土地を活用する際に押さえておくべきポイントを3つご紹介します。
◯用途地域や法規制について把握しておく
◯費用のシミュレーションを念入りに行う
◯土地活用のプロに相談する
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
用途地域や法規制について把握しておく
土地活用を行う際には、用途地域や法規制を事前に確認しておきましょう。用途地域とは、土地の利用や目的を制限するための地域区分で、住居専用地域や工業地域などに分かれています。
用途地域の区分によって、建てられる建物の種類や用途が決まるため、活用方法を考える際の基準となります。
例えば「第一種低層住居専用地域」などの住居系の用途地域では、建てられないものも多いです。
また、住宅はほとんどの用途地域で建てられますが、一方で「工業専用地域」の区分の地域では建てられないといった違いがあります。
〈参考〉:愛知県「集団規定」
〈参考〉:岐阜市「用途地域とは?」
さらに、建ぺい率や容積率も、土地にどの程度の規模の建物が建てられるかを決める要素です。
建ぺい率や容積率は建築基準法で上限が決まっており、用途地域によっても異なります。
自分が所有している土地がどの用途地域なのかについては、自治体の窓口やホームページで確認しましょう。
費用のシミュレーションを念入りに行う
狭い土地を活用する際には、収支計画のシミュレーションを念入りに行いましょう。
狭い土地で建築する際に、縦に長い設計にするとその分建築コストが割高になりやすいほか、駐車場などの初期費用を抑えられる方法でも、維持管理費が発生します。
ローンを組む際は、「赤字にならないか」「ランニングコストが収益を圧迫しないか」など、事前に試算しておきましょう。
例えば、賃貸住宅を建築する場合は、建築費用や修繕費、空室リスクを含めた収支計画を立てることが重要です。
また、コインランドリーや駐車場経営の場合は、設備の設置にかかる費用や維持管理費がどれだけかかるか確認し、利益を出せるのか判断します。
このように、土地活用を計画する段階で念入りに収支計画のシミュレーションをしておけば、資金不足で計画が頓挫したり、土地活用したものの赤字になって後悔したりするリスクを減らせます。
土地活用のプロに相談する
狭い土地は、活用方法が限定されていたり、アイデアによっては収益性が低かったりする可能性があり、初心者だとハードルが高いと感じる方もいるでしょう。
そのような場合は、土地活用のプロに相談するのがおすすめです。土地活用のプロに相談すれば、所有している土地の形状や用途地域、周辺環境を元に、最適な土地の活用方法を提案してくれます。
また、法規制についても専門知識を有しているため、土地活用を進めたくても用途地域や建築基準法などの法規制が難しくて悩んでいる方へのアドバイスも可能です。
まとめ
狭い土地は活用方法が限られている一方で、地域のニーズに沿って適切に活用を進めれば収益化できます。
用途地域や法規制について理解し、収支計画を立ててから土地活用を進めれば、失敗するリスクを抑えられるでしょう。
もし、自分だけで土地活用を進められないとお悩みの方は、土地活用のアドバイスを行っている専門家にご相談ください。
タカオでも、狭い土地を所有していてお悩みの方へアドバイスを行っており、収益化につなげられる具体的なアイデアをご提案いたします。
今まで土地が狭くて活用できていなかった方も、記事をお読みいただいたことをきっかけに、土地活用を通じて収益化や節税対策などを目指しましょう。