手持ちの土地を活用したいけれど、狭小地だと難しいのでは…と、悩んでいるオーナーさんは多いもの。しかし、狭い土地であっても活かせる方法はいくつかあります。
ここでは、狭小地でも活用できる方法をご紹介しましょう。
土地が狭くても活用できる方法とは?
活用の選択肢を考えれば、土地はある程度の面積がある整形地がベストです。目安としては70坪以上、長辺と短辺に大きな差がない長方形の土地であれば、集合住宅でも店舗でも、あるいはそれ以外の用途にも使いやすく、それだけ土地活用の幅が広がることになります。
すべての土地が、そのような恵まれた状態にあるわけではありません。狭小地は、建てられる建物の大きさが制限されてしまいますから、面積が大きいなどの条件が整った土地と比べたら、選択肢が少ないのは確か。
しかし、狭小地だからといってあきらめなくても大丈夫。その土地に合った活用方法を選べば、効率の良い収益化も可能です。狭小地を活かす方法の例を挙げながら、それぞれの特徴を見ていきましょう。
1 アパート・ワンルームマンション
収益性が高く、固定資産税や相続税などの税制面でも有利なのが、アパート・マンションといった賃貸物件への活用です。狭小地であれば、単身者向けのワンルーム物件が向いているでしょう。近年では、居室が3畳程度の「狭小アパート」も注目されています。
「駅や商店街に近くて利便性は高いけれど、土地が狭い」といった場合には、このスタイルを検討するのも◎です。
狭小地ではあまり部屋数を多くできませんから、効率良く設計する必要があります。近隣の家賃相場や、建物の構造、設備、間取りなどを総合的に判断して賃料を設定し、収益性を検討しておくことが大切です。
2 小規模店舗
たとえ狭いスペースでも、店舗として営業している店はいくつもあります。ショーケースひとつで営業するベーカリーやパティスリー、狭いことがかえって居心地の良さを生み出すこともあるバーや立ち飲み屋もあるでしょう。
店舗として使う場合、立地条件が大きな課題になります。人通りの多い通りに面した場所や商店街の中など、ある程度人が集まりやすい場所であることが重要です。そうでないと、テナント集めに苦労する可能性は高くなります。
3 介護福祉施設
各種介護福祉施設は、将来的にもニーズが見込める土地活用方法です。中でも、障害者向けのグループホームは、狭い土地でも有効活用でき、施設数がまだ少ないこともあって、高い入居率が期待できます。
介護福祉施設として活用する際には、土地だけを賃貸する方法と、土地オーナーが建物まで建てた上で事業者に賃貸する方法がありますが、後者であれば収益性が高まる上、税制面でも有利。さらに、福祉事業は地域に根づいて継続していくため、長期にわたる安定収入につながります。
事業者の選定や契約交渉などは、オーナー自身が行うには難しいこともありますので、ノウハウを持った専門家に相談しながら進めるといいでしょう。
4 コインランドリー
コインランドリーは、設備を一通り置けるスペースがあれば、そこまで広い土地じゃなくてもOK。管理人を置く必要がないため、貸し出すのではなく自身で開業することも視野に入れられる業種といえます。
景気に左右されることがなく、ビジネスとしての安定性も◎。フランチャイズチェーンに参加すれば、ノウハウも提供されますから、専門知識がなくても運営することができるでしょう。
5 シェアハウス・テラスハウス
シェアハウスとは、1つの建物にいくつか個室を設け、共用部分となるキッチンやリビング、シャワールームなどを備えた施設。簡単にいうと、一軒家を複数人でシェアする形です。
建物の構造上、床面積あたりの居住人数が増えるため、アパートやマンションよりも家賃収入を増やしやすいという特徴があります。
一方、テラスハウスは、テレビ番組の影響で実際とは違う意味で記憶している人がいるかもしれませんが、本来は2階建て以上の住宅が壁を隔てて横に並んだ建物のこと。「2階建て以上の長屋」をイメージするといいでしょう。各戸にそれぞれ玄関があり、内部は階段で1階・2階に分かれていたり、メゾネットになったりしています。
いずれのスタイルも、一棟の建物として建設するため、敷地を有効利用しやすく、建設コストを抑えられるメリットがあります。ただし、一般のアパートやマンションと同じく、周辺地域の賃貸住宅事情や賃料の相場などを調査し、収益性をよく検討しておく必要があります。
6 駐車場・駐輪場
狭小地の活用方法としてポピュラーな方法が、駐車場や駐輪場です。三角形や五角形といった変形地でもレイアウト次第で活用できますから、使い勝手のいい方法といえるでしょう。
立地によっては、時間貸し駐車場を手掛ける事業者に土地をそのまま賃貸できるので、手間を掛けずすべての管理を任せることができます。
初期投資を低く抑えられること、土地の転用が容易であることなどのメリットがありますが、賃貸住宅と比べると収益性は低く、税制面でのメリットも期待できません。ニーズがどれほど見込めるかの調査も、もちろん慎重に行う必要があります。
7 レンタル農園
日本では、長らく農業保護政策がとられてきたこともあって、農地として登記した土地の転用には厳しく、簡単には許可が降りません。しかし、宅地をレンタル農園として賃貸することは、登記変更をせずに可能です。
レンタル農園は家庭菜園の延長のような感覚で運営できるため、広い農地にこだわる必要はなく、少々交通の便が悪い立地でも、さほどマイナスにはならないでしょう。
ただし、土いじりを楽しめるようにするには、それなりの土壌を用意しなくてはなりません。「今まで駐車場だったところを、そのままレンタル農園に」というわけにはいかないのです。
また、固定資産税や相続税など、税制面での恩恵を受けることができない点も、デメリットといえます。
8 太陽光発電
太陽光発電は、ソーラーパネルを設置し、発電した電力を電力会社に販売することで収益を上げる方法です。近年では、各地で大規模なメガソーラーシステムが稼働していますが、狭小地であっても利用できます。
日常的な管理がほとんど不要で、日照さえ十分であれば立地や環境に左右されないため、遠隔地の土地活用方法として有用でしょう。
十分なリサーチと検討を踏まえ、最適な土地活用を
狭小地の活用方法は、バラエティ豊か。ここに挙げた以外にも、コンテナハウスやトランクルームの設置、自販機の大量設置など、数多くあります。
これらの活用方法の多くは、オーナーみずからが運営に関わる必要がありません。それぞれの事業を手掛ける業者に土地を賃貸するか、建物を建てた上で土地とともに賃貸するか、どちらかの方法をとればいいのです。
ただし、どの活用方法を選ぶにしても、十分な収益を得られるかどうかのリサーチと検討は必要です。土地の立地や坪数に合わせて最適な方法を選び、積極的に活用していきましょう。