どんな土地活用法がいいのか、どれくらいの規模の建物が建てられるか、資金繰りをどうするか。土地活用を始めるに当たって、悩みはつきものです。
どこに土地活用の相談をすべきかは、土地活用の方法によって異なります。
この記事では、土地活用の相談先候補として会社や専門家をリストアップし、土地活用の相談先を選ぶ際のポイント、土地活用を第三者に相談する前に確認すべきことなどについて、詳しく解説します。
土地活用の相談先にはどんなところがある?
土地活用だけを専門に行っている会社は少ないため、土地活用をどこに相談すればよいのか迷われる方も多いのではないでしょうか。
土地活用に当たっては、法規制、法律面、需要面、ファイナンス面など、多方面にわたる専門知識が必要となります。
このため、土地活用に関する相談先候補は、以下のように不動産会社や各種専門家など多岐にわたります。
土地にかかる法規制の相談先
土地にかかる法規制については市役所で確認できます。
法律で用途制限や建物の高さ制限などの様々な建築の規制があるため、自身が所有している土地であっても、自由に建物を建てられません。
建築規制の内容はエリアによって異なりますが、市のウェブサイトで調べられます。
一方、市街化調整区域内にある土地や農地、土地の前面道路が狭い場合などは、市役所の「建築指導課」などに直接出向いて相談した方がいいでしょう。
そもそも建物が建てられるのか、どんな建物が建築可能かについては、個別に細かい条件があるためです。
また、自治体によっては、建物の解体や新築に当たって補助金制度があります。
市役所では、補助金の情報についても教えてもらうことができます。
土地活用における法律面の相談先
土地活用に当たっては、法律面でプロに相談したい場面が出てきます。
土地の法律面については、弁護士や司法書士などの専門家が心強いです。
弁護士
以下のような場面で弁護士は頼りになります。
相談しやすい弁護士を見つければ、土地活用を始めた後でも相談しやすいでしょう。
- 土地を相続したため権利関係をはっきりさせたい
- 各種契約書を作成してほしい場合
- 入居者の立ち退きに際してトラブルがある など
弁護士に相談する際、他で作成された契約書を見せて、自身に不利な内容がないかどうか確認してもらうこともできます。
司法書士
登記手続きが複雑である場合は、登記のプロである司法書士にお願いしましょう。
手続きは自身で行うことも可能ですが、司法書士に依頼することでスムーズに手続きできまます。
以下の場合、法務局にて登記手続きが必要になります。
- 土地を相続した時
- 建物を新築した時
- 土地や建物に抵当権を設定した時 など
土地活用をスムーズに行うためには円滑な手続きが不可欠のため、無理に自身で行おうとせずに、適宜司法書士を頼りましょう。
土地活用方法に関する相談先
土地活用の方法について相談したい場合の相談先候補は複数あります。
会社 | 土地活用法の例 |
---|---|
不動産会社 | アパート、マンション、店舗、オフィスビル、福祉施設など |
建築会社 | アパート、マンション、店舗、オフィスビル、福祉施設など |
デベロッパー | 大規模なビルやマンションなど |
ハウスメーカー | 規格化された戸建住宅、アパートなど |
工務店 | 自由設計の戸建て住宅、アパートなど |
各種専門会社 | コインパーキング、太陽光発電、トランクルーム、コインランドリーなど |
なお、土地活用方法についてまだ何も決まっていない段階では、様々な土地活用を行っている不動産会社か建築会社に相談すると、過去の実績などから土地活用のアイデアを得られます。
それぞれで特徴や得意分野が異なりますので、確認しましょう。
不動産会社
不動産会社はマンションや商業施設で土地活用をしたい場合や土地の売却・賃貸をしたい場合に相談がおすすめです。
不動産会社によって以下のような特色があります。
大手不動産会社 | 不動産仲介会社 | |
---|---|---|
得意分野 | 商業施設やマンションなどで土地活用をしたい | 土地を売却または賃貸したい |
なお、地元の不動産会社であれば地域の実情に詳しいため、エリアの需給動向を踏まえてどのような土地活用法がよいか、アドバイスをもらえるというメリットがあります。
建築会社
建築会社は建物を利用した土地活用の相談に適していますが、会社によって得意な建築が異なります。
例えば、マンションの建設が得意な会社、店舗の建設に強い会社、福祉施設の建設が得意な建築会社などがあります。
各会社のウェブサイトを見て、どのような用途の建物の実績が多いのか把握しましょう。
また、得意分野であれば、建築以外でのアドバイスを受けやすいメリットもあります。
たとえば、福祉施設の実績が多い会社であれば、福祉施設の建築に詳しく、福祉施設事業者とのパイプを持っていることが期待できます。なお、建築会社の中には、当社のように土地活用のコンサルティングを行っている建築会社もあります。
土地活用を相談すれば、立地条件やマーケット状況に照らして、どのような用途の建物が適しているかについて、アドバイスを受けることができます。
デベロッパー
デベロッパーは、主に立地がよい大規模な土地に、鉄筋コンクリート造のビルやマンションを開発する企業です。
土地に適したオフィスビル・店舗ビルの設計や、間取りを含めたマンションの建築プランを提案してもらえます。
デベロッパーは、資金力とブランド力を有しているのが強みです。
なお、大手のマンションデベロッパーは大規模マンションに特化している場合もありますが、地域密着型のマンションデベロッパーは、中小規模のマンション開発を得意とする会社もあります。
理想とするマンション規模によって、相談するデベロッパーの規模も考えるとよいでしょう。
ハウスメーカー・工務店
戸建て住宅や小規模・中規模のアパート建設の相談なら、ハウスメーカーが適しています。
建築プランだけでなく、賃貸住宅の収支シミュレーションをしてもらえることもあります。
ハウスメーカーの戸建住宅やアパートは規格化されていることが多く、建物完成までの期間や建築費の見当を付けやすく、資金計画を立てやすいのがメリット。
大手のハウスメーカーは全国各地に支店があり、グループ内に管理会社を持っているため、竣工後のメンテナンスも依頼可能です。
また、サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)を扱っているハウスメーカーもあるので、気になる人は相談してみるのもいいでしょう。
工務店は地元密着型が多く、ハウスメーカーに比べて建築プランの自由度が高いのが特徴。
規格化された建物を建築するのが難しい「変形地」や「狭小地」などであっても、対応可能です。
各種専門会社
以下のような土地活用法においては、それぞれ専門会社があり、運営ノウハウや市場データを豊富に有しています。
- コインパーキング
- 太陽光発電
- トランクルーム
- コインランドリー
チェーン展開している会社はウェブサイトでオーナー募集していることもあるため、一度近くにあるコインパーキングやトランクルームの会社を調べてみましょう。
なお、駐車場運営をしたい場合、月極とコインパーキングで相談先が異なります。
月極駐車場の場合は特別な機器が必要ないため、地元の不動産会社に相談可能です。
一方、コインパーキングの場合は、看板、フラップ版、精算機、ゲート機などの機器が必要になるため、専門業者に相談するのが一般的です。
駐車場台数や料金設定などについて、提案してもらえます。
土地活用の資金・税金面の相談先
土地活用における資金面、税金面については、金融機関や、ファイナンシャルプランナー・税理士などの専門家に相談しましょう。
金融機関
土地活用に際して必要な資金の全額または一部をローンで賄う場合、金融機関に融資の相談をしましょう。
なお、金融機関によっては不動産部門や土地活用や相続に関するコンサルティングを行う部門があり、土地活用法についても相談することができます。
税理士
税務のプロである税理士に聞けば、土地活用後の税金を見積もってくれます。
土地は所有しているだけで様々な税金がかかるものです。
たとえば、相続した場合は「相続税」、所有している間は「固定資産税」や「都市計画税」を支払わなくてはなりません。
税金の計算方法は税金や土地の用途によって異なる上、期間限定の緩和措置などもあるため複雑です。
税理士に相談すると、土地活用を始めるに当たって支払う税金はどれくらいか、節税効果が高い土地活用法はどれかなどについて、アドバイスをもらえます。
ファイナンシャルプランナー
土地を含めた資産全体の運用のアドバイスを受けたい場合は、ファイナンシャルプランナーに相談しましょう。
中立的な立場から、中長期的な収支がどのようになるか、シュミレーションしたりアドバイスしたりしてくれます。
ファイナンシャルプランナーはハウスメーカーなどに在籍していることもありますので、一度在籍有無を聞いてみるのもいいでしょう。
土地活用の相談先を選ぶ際のポイント
土地活用の相談先を選ぶ際は、以下の点に注意して選びましょう。
- どのような土地活用方法が得意か
- 土地活用の相談に料金がかかるか
- 利用者の口コミ
- 相談先の担当者の対応
- 複数の会社に土地活用を相談
どのような土地活用方法が得意か
検討している土地活用法がある場合は、その活用方法を得意とする会社に相談するのが基本です。
過去の事例を見せてもらうことで、土地活用法を具体的にイメージしやすくなります。
賃貸マンションの場合は、不動産会社、建築会社、デベロッパー、ハウスメーカーなど様々な会社が扱っているため、比較的相談先を選ばない土地活用法です。
一方、福祉施設は行政での手続きが多く、特殊な設備が必要であるため、福祉施設建設の実績が多い建築会社等を選んだ方がベターです。
各会社のウェブサイトでその会社の実績を見て、得意とする土地活用法や得意なエリアを確認しておきましょう。
土地活用の相談に料金がかかるか
土地活用の相談先によって、有料の場合と無料の場合があります。
たとえば、以下の専門家は、相談そのものを主要業務としているため、有料であることが多いです。
- 弁護士
- 司法書士
- ファイナンシャルプランナー
- 税理士
ただ、初回の相談のみ無料としている事務所もあるので、あらかじめ調べておきましょう。
一方、不動産会社、ハウスメーカー、建築会社等の場合、相談して建築プランを立ててもらうまでは無料という会社が多いです。
利用者の口コミ
会社の利用者の口コミは、顧客の生の声を反映しており、参考になることがあるので、インターネットで検索してみましょう。
ただ、匿名の口コミが多いため、参考にとどめるようにしましょう。
相談先の担当者の対応
土地活用に当たって契約した会社とは、建物完成まで、場合によってはその後の管理も含めて長い付き合いになることが多いため、担当者との相性は重要です。
相談先の担当者との相性のよさや信頼できるかに関しては下記をポイントにしてください。
- 質問や相談がしやすい
- メールや電話にすぐ返事をくれる
- 決断を急かさない
複数の会社に土地活用を相談
土地活用のパートナーを決める前に、複数の会社に土地活用を相談しておくのがおすすめです。
複数社から提案されたプランを比較検討することで、提案された土地活用法やプランに書かれた数値の妥当性を判断できます。
プランを見る時は、以下の点をチェックしましょう。
- 賃料が高すぎないか
- 費用が安すぎないか
- 空室リスクを見込んでいるか
- 税金は加味されているか
土地活用の相談前に確認した方がいいこと
土地活用を始めるに当たってプロに相談する前に、自身で確認しておいた方がいいことを説明します。
以下の4点を事前に確認してから相談をすることで、より適切なアドバイスが可能です。
- 立地条件や土地の特徴
- 周辺競合物件の有無
- 土地活用を相談する際に必要な資料
- 土地活用の目的と優先順位
立地条件や土地の特徴
土地の特徴が分かっていれば、おのずと土地活用法の選択肢は絞られてきます。
相続したばかりであまり土地のことを知らない場合、最低限以下のことについて調べておきましょう。
【立地条件】最寄駅から遠いエリアなど、店舗の需要がなく住宅の需要が強い場合は、住宅系の土地活用法を検討した方がいいでしょう。
【土地にかかる建築上の規制】たとえば、土地にかかる建築の規制により、店舗が建てられないことがあります。このような場合、店舗運営が土地活用法の候補から外れます。
【土地固有の条件】土地の規模や形状によっても、実現可能な土地活用法が絞られます。
なお、土地の狭かったり、田舎にあったりしても土地活用は可能です。
一般的には不利な条件でも土地活用のプロに相談すれば解決策を提案してもらえるでしょう。
▼関連記事周辺競合物件の有無
周辺にある競合物件の種類や繁盛ぶりも参考になります。
たとえば、同じ道路沿いにロードサイド店舗がある場合、以下を調べるとロードサイドでの土地活用の向き不向きの判断がしやすいでしょう。
- 店舗の種類
- 駐車場台数
- 客の入り
- 営業年数などが参考になります。
土地活用を相談する際に必要な資料
土地活用を相談する際に、最低限以下の資料を揃えておいた方が、スムーズに相談できます。
- 登記簿謄本
- 地積測量図
- 固定資産税納付書
登記簿謄本や地積測量図は法務局で取得できます。
固定資産税納付書が届く時期は自治体によっても異なりますが、4~6月に届くことが多いです。
土地活用の目的と優先順位
土地活用を相談する前に、自身の土地活用の目的や優先順位をはっきりさせておくことをおすすめします。
土地活用の目的としては以下のようなものがあります。
- 税金や維持費を賄える程度の収入を得たい
- おもに節税対策をしたい
- 高収益を得たい
- 管理に手間をかけたくない
- 初期投資はなるべく抑えたい
- 後に土地活用法を変更しやすい方がいい
土地活用の優先順位は、一人ひとり異なるものです。
会社や専門家に相談する際に、土地活用の目的と優先順位を伝えることで、より希望に沿ったプランを提案してもらいやすいでしょう。
まとめ
土地活用には様々な専門知識が必要となるため、会社や専門家に相談することが欠かせません。
プロの観点から、自身が思いつかないような、土地活用法を提案されることもあります。
土地活用の相談先を選ぶに当たっては、相談先を選ぶ際のポイントを参考にしてみてください。
相談の際には、土地についての情報、自身の土地活用の目的や優先順位を伝えた方が、その土地や自身の希望に合った提案をしてもらえるでしょう。
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